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紙魚子の小部屋 はてな版

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

なまはげ伝承館

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 

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なまはげ伝承館」は「なまはげ館」の隣にあるので、徒歩1分とかからない。

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東北の古い民家「曲がり家」が遠野で見られることを知っていたが、とてもそこまで行く時間がなく泣く泣く諦めたので、伝承館が「曲がり家」だと知ったときには、とてもうれしかった。

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なまはげ伝承館」は、体験が約30分の時間制で区切られており、途中から入場することはできない。少し早めに行って、「曲がり家」の入口の綱で閉め切った戸口の前で少し待機する。今回は、この日の最終公演?だったためか少なめ。おじさん2人組とご夫婦ひと組と私の5人が体験者だ。

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「おまたせいたしました、どうぞお入りください」と、家の主人が丁寧に招き入れてくださる。家の中は撮影禁止なので画像はないけれど、なにしろ「毎日が大晦日」という家なので、掃除がゆきとどき、たしかに「お正月を迎えるのを待つばかり」の気配が漂っている。快適な気温なのに、しんしんと冷えむ気配までもが感じられるようだ。

なまはげスタッフは囲炉裏のある一間、見学者はその隣の奥の間で横一列になった。となりのおじさんたちは、「しゃべっている東北弁、わかるかなあ?」と心配そう。

 

まず作務衣を着たおばさまが登場して、慇懃に、しかしにこやかに「なまはげ行事」について説明してくださる。説明なので標準語だ。

 

「まず先導として、まもなくなまはげがやってくることを伝えに、村人がやってくる」「なまはげがやってくるのは、大晦日だけ」

なまはげはひとりではなく、2人でやってくる。そして囲炉裏の前で、7回、5回、3回シコを踏んでから、腰をおろす」

なまはげは家の主人と問答をして、家族がみんなまじめによく働いて(子どもは勉強をしっかりして)いるか、きちんと仲良く暮らしているかを主人に問う」

なまはげが家中を大きな音をたてて建具を開け閉めするのは、家の中の悪いものを追い払うため」

「真山のなまはげには、ツノがありません。それは真山の神様だからです」

 

などなどと詳しく説明してくださり、「まもなく、なまはげがやって参りますので、もうしばらくお待ちください」と小気味よく立ち去って行かれた。

小学生の孫がいる、という設定の初老の主人が静かに座っていると、戸口があいて先導者が現れ、ふたりの問答がはじまる。先導者がいうには、「いま隣の家になまはげさ、いるけっども、さっき童子(わらす)さが、これからはいい子になるべってなまはげさに約束しだがら、もうちっとで来るべさ」(みたいな感じ。)

 

先導者が帰ったら、ほどなく「うぉぉぉ〜 うぉぉぉ〜」というなまはげのうなり声が近づき、どしんどしんと地響きがするような足音が聞こえ、ばしん!!と障子が開く。

大迫力で、青赤ツーショットのなまはげ登場! 私は内心、黄色い(うれしい)悲鳴だ(笑)

「孫の一郎さ、いい子さしてたか? まじめに宿題やってたか? ちゃんと学校に行ってるか?」「そりゃーもう、宿題さ毎日きっちりして、休まず学校さにも行って、家の手伝いさもする、ええ童子だぁ」(みたいな感じ)

「嫁の光子は、姑を大事にしてるか? 早起きしてよく働いてるか?」「あんなええ嫁コは、ちょっとおらんです。えぇ〜嫁コが来てくれたと、家族みんな喜んでますだ」(みたいな感じ。)

「ほんとだな? ウソついてもダメだぞ。お山の上から毎日見てんだ、この『なまはげ台帳』に、ぜんぶ書いてあっからな!」「どれどれ?」「何だ!おまえの行ってる事は、なにひとつ書いてないぞ! 孫の一郎さ、まじめに学校さ行ってるけどそれだけだ。宿題はゼンゼンせんし、いたずらばっかりすっし、授業中も、はぁ、しゃべってばっかりだし、手伝いはせん! おまえの言っでるこた、な〜ぁんにも書いてねえぞ!」

「しかも、嫁の光子、毎日寝坊して、朝飯はババに作らせて、自分は隣近所の嫁たちと夕方までしゃべってるじゃないか! いいかげんなことばっかり言って、一郎と光子、どこさいるだ? すぐここさ連れてこい!!」

 

と怒りだすなまはげを、「まーまー、寒い中来たもんで、身体冷えてるべ、あきたこまちで作ったうめえ酒でも」と、強引に話題を変えようとし、酒をすすめる主人。すすめられるまま、酒を飲むなまはげたち。しかし「おめえ、まさか、酒でごまかそうとしているんじゃ、ねえだろな!?」と作戦バレバレ。「一郎と光子、どこに隠した? よし、家中さがすべ!」「おう!」と、酒を飲み終えたなまはげたちは、家中の建具をばしばし!!と開け、「一郎、どこだべ!」「光子はいねえか!」とどすんどすんと、くまなく探しまわる。

隣の夫婦者の奥様が、大きな音がするたびに、びくっと目をみひらいて驚かれていた。

 

ついに、私たちのいる部屋にもなまはげがやって来る。

「うぉおお!」と私たちの周りを練り歩き、私の前にやってきたなまはげが、

「おまえ、光子に似てるな。光子じゃねぇのか?」と、なんと指差してイジってくれたのだった! あまりのうれしさに大笑いしながら、「ちがいます、ちがいます」と首を横に振る。主人も「いえ、この人は、光子じゃありませんので・・・」とフォローしてくださる。しかし、なまはげ、引き下がらない。「いや、やっぱり光子に似てる。おまえ、光子だな!?」 一同、大笑いだ。臨機応変に場を見極めるなまはげさん、さすがはプロだ、いや神だ。ちょっと主人がオロオロしだすほど「さてはおまえ、光子だな!」「ちゃんと早起きしてるのか?」「朝飯、作ってるか?」をひとしきり繰り返したあと、ふたたび囲炉裏の部屋に戻り、主人に一郎と光子が更正をはかるよう約束させ、なまはげたちは「うぉおおお〜」と去って行った。

 

畳に落ちたなまはげの蓑の藁、「ケダ」はお守り代わりになるので、どうぞおもちかえりください、という説明係の女性の言葉に、1本拾わせていただいた。

 

いや〜、伝承館、期待以上に迫力があって、予想以上に楽しめた場所だった。迫力とおとぼけと笑いがあって、しかも素朴な信仰に裏打ちされた(神の)人間への信頼も垣間見える。清々しく、どこか心がさっぱりする、愉快な行事でもある。

なまはげ」は国の重要無形民俗文化財に指定されているが、あの主人のトボケ具合、なまはげ2人の掛け合いのチームワークのよさ、3人の絶妙な間合いも素晴らしい! あのひと(神)たちも、人間国宝に指定されてもいいと思った。なまはげ、面白すぎます!!

ウキウキ。

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