たそがれ、花巻。
遠野ほどではないにしろ、やはり交番は宮沢賢治を意識したイメージで、☆がついている。たしかに、ホシを追いかけるのが仕事ではあるもんな。他はいたってシンプル。
歩道に設置されたオシャレなベンチは、銀河鉄道の夜だ。
マンホールは鹿(しし)踊り、菊、早池峰薄雪草、だそうです。ここでは賢治よりも「鹿踊り」が優先されているのだな。
こっそりひっそりと、賢治さんのシルエット。
金色のカエルもなにげにいる。
賢治お気に入りのフクロウだって、しっかりと。
おおっ、これは建物自体が星座の賢治モチーフだ! 「東北労働金庫 花巻支店」なのです。品のいい螺鈿細工みたいで、かっこいいし斬新!
ちょっとしたレトロ感もあり、シンプルなのに大胆。
とまあ、いろいろな物件を見られ楽しかったのだが、荷物をガラガラ引き摺っていった郵便局はちょっと距離があった。局員さんはとても親切で、他の郵便局の場所も教えてくださったが、やはり17時までに行くのは無理そう。それでも花巻で風景印は予定外だったので、充分だ。
郵便局から駅前に戻ると、すっかりたそがれ。
雲の輝きがメルヘンだ。やはり花巻の自然は別格な気がする。さすがは賢治ワールド。
「風の鳴る林」というモニュメント。ときに「姫神」がオリジナルで作曲したBGMが流れるそうだ。
詳しくはこちら↓
5時丁度に合わせて、駅前の観光案内の方に教えてもらった駅前のからくり時計「銀河ポッポ」を見にダッシュ!
長針が12時を指すと、寂しい風景が、キラキラと一変する。
星座に光が灯り、「星めぐりの歌」のメロディにのって、ジョバンニとカムパネルラが降りて来る。
時計のまわりには、銀河鉄道の世界が展開し始める!
やがてゆっくりと時計が閉じていき、夕暮れのしじまに戻って行く。
見物人は、私と初老の紳士のふたりだけ。
モニュメントの上に月が輝き始めた。
ずいぶん暗く、肌寒くなった駅前で、温泉郷行きのバスをひとり待つ。私のうしろについた女性と話したら、なんと! 彼女も滋賀県の比叡山の麓から来たとの事。奇遇〜!
宮沢賢治の絵本を作りたいので、花巻の風景を見なくちゃ! とやってきたとか。私同様、「林風舎」が定休日なのに愕然とし、急遽、駅前のレンタサイクルで自転車を借り、宮沢賢治の墓参りに行ったとか。「花がいっぱいでしたよ!」と。人気者だなあ。
彼女は宿が別だったので、先にバスを降りられたが、ちょっと鄙びた感じの温泉宿で、一人旅にはこっちの方がよかったかも・・・と羨ましい気持ちも。