まずは「京都市国際交流会館」へ
ふと気がつけば、細見美術館で開催中の「鈴木其一展」が今週で終わってしまう!というのに気づいたのは、火曜日、2月14日・バレンタインデーのことだった。ところが水曜は体調がいまいち、木曜は予定があり、土日は仕事。
もう、なにがなんでも金曜に行くしかない!!
ということで、雨の中、京都は東山へ。
わざわざ一駅まえの「蹴上」で地下鉄を下車。通路にはカラフルな象さんたち。南禅寺や無鄰庵、インクライン、疎水記念館、平安神宮など神社仏閣や名所旧跡が目白押しの地域だが、やはりここはポップに動物園をモチーフにしたようだ。
とまあ、そんな場所なので、雨であっても歩くのが苦にならない。
日本初の水力発電所。琵琶湖疎水がエネルギー源だ。
雨に煙る看板もゴージャス。この中で銀閣寺は徒歩で行けなくはないが、結構かかる。
鈴木さん鑑賞の前に、「京都国際交流会館」内のレストランへ。
まずはハラゴシラエなのだ。南禅寺前というロケーションが抜群の、おしゃれで美味しいフレンチタイプのレストランがあり、久しぶりに行ってみようかと思い立って「ツムギ」さんへ。
でもオープンより30分も前に到着したので、扉は固く閉ざされていた。
仕方なく、おしゃれな階段の写真などを撮っていたけど、それで30分はもたない。
上の写真は踊り場の壁。
それでも時間をムダにはしたくない、と2Fフロアを奥に探索してみると、入場無料の「装丁展」が開催されていたので、コレ幸いと潜り込み、興味津々に時間を潰すことが出来た。
夏目漱石の「猫」をテーマにしたものと、自由につくられたものとが展示されていた。プロアマを問わず、素敵な装丁がたくさん。エキゾチックなもの、古い洋書風のマーブル模様のもの、革細工や光り物を使った豪華なもの、絣や紬など素朴な布地で包んだもの、斬新なデザイン、大胆な構成、繊細な色使い、かわいらしいもの。
受付と案内をされていた方に、本の修理のことで質問させていただいたら、その方もなんと元図書館員。「『怪傑ゾロリ』のシリーズなんかは、どうしようかとおもうくらい、激しく壊れますよねえ」と意気投合。
アンケート用紙にもしっかりこたえ会場を出る。同じフロアのレストランに戻ると、オープン間もない感じで、私が一番乗りだった。注文するのは、もちろん1500円のAランチだ。貧しい客ですまない。ちなみにランチメニューは1500円のカジュアルフレンチのAランチと、2500円のフルコースBランチしかない。いまだにBランチは私にとって、雲の上の存在である。
この日のAランチは「カリフラワーのポタージュ」、小さなあたためたパンが2つ、「スズキのポワレ」「レモンとバニラのムース(すごく小さいです!)とバニラアイス、ベリーソース添え」「コーヒー」でした。下の写真がスズキのポワレ。
すべてが絶賛を惜しまないほど美味しかった! カリフラワーのほのかな野菜の持つ甘味が活かされたスープ、パンはしっかりと温めてあり、外側はカリッとして、全体にちょうどいい堅さ。単品でも小麦の香ばしさにうっとりしつつ、新鮮でしっかりしたスズキのポアレと付け合わせの野菜をいただいたあと、ポアレのソースを絡めて、もういちど。さわやかなムースは上品に食べても3口だけど、それを惜しむようにいただくのも一興。バニラアイスのベリーソースには、丸ごとのラズベリーもあり、幸福感につつまれる。コーヒーもなみなみとしており、濃いめのフレンチローストなのもうれしい。
実は会館の奥にある「和館」では、「アルスシムラ」(志村ふくみさんの染織りの教室)の卒業展があり、せっかくなのでそちらも行って見る。
いや〜、圧倒されました。やはり自然から得る色ってすごいすごい! と感動の 連続。帯や着物を「糸を染める」ところからスタートし、その糸を織機にかけて織り上げ、たった1年や2年でこんな素晴らしい作品を作り上げられることにも驚嘆。
志村ふくみさんの作品は何度か見たことがあるけど、また感動の種類が違うみたい。いや、逆に無名の生徒さんの作品だからこそ、心打たれてしまう部分があったのかもしれない。そのいさぎよいシンプルさと、無心な一生懸命さと、織りながらの作り手が感じている感動が伝わって来たのかもしれない。
眼福というのは、これだねえ。眼が癒されましたよ、ほんと。眼が癒されるなんて、めったにないことなのに。予定外のあれこれを、ぞんぶんに拝見できました。