平楽寺書店
そもそもは、ここから始まった。京都新聞4月20日付け。
新聞を読んだ時には「そうなんだ・・・」と思っただけだったが、この店舗に行ったことがあるFB友達から「近くのひとは行った方が」とおススメされたので、素直な私は行って見ることにした。場所を調べてみたら烏丸御池で、しょっちゅう前を通っていたはずなのに、まったく私の視野に入っていなかった。私としたことが、うかつであった。
新聞にあったのは、京都の老舗仏教図書専門の本屋さん「平楽寺書店」の記事だ。店舗は国登録有形文化財である近代建築が、今月より解体されるという話である。築90年で老朽化が進んだので、当主は最初、維持改修を検討された。しかし費用は自前で調達せねばならないことがわかり、断腸の思いで断念されたそうだ。
普通の家でさえ、維持改修の費用はため息が出るほどなのに、ましてや国登録文化財ならどれほど・・・。それを個人商店で賄えというのは酷すぎる。当主の立場にたてば、「建て替えやむなし」だろう。残念だし、惜しいけれど、個人が莫大な借金を背負い込んでまで残すのもどうかと思う。こういうところに補助金として使って欲しい税金が、別のトンデモなところでじゃんじゃん使われたりしているだろうことを考えると、なんとかならんのかい!とは思うんですけどね。
一方、これだけのために京都に行くのもと、風景印採取ラリーも兼ねて出かけることにした。ザックリとたてた予定は、書店近くの中京郵便局からスタート。地下鉄に少し乗って、京都府庁前郵便局へ行き、そこから堀川通をバスを使いながら北上し、北大路通りから出雲路橋まで。郵便局を経由して鞍馬口まで行き、地下鉄で京都駅に帰る、というルートだ。なかなかの距離だったりするので、市バスと市営地下鉄の一日乗車券を活用しつつ移動する。
まずは地下鉄烏丸線で烏丸御池で下車。何度も来たことがある、おなじみの場所だ。先に中京(なかぎょう)郵便局に行ったが、それは後日また。郵便局の前の小路を北上する。ほどなく見えて来ました、3階建てのビル。
肉眼でもわずかに斜めになっているのがわかる。そりゃ床のボールが転がるはず。
やはり、すでに重機が入り、サッシなどが外されて解体が始まっていた。予想していたものの、しかもまったくの第三者なのに動揺する。
それでも前面は、なんとか踏みとどまってくれている。
たぶん隣のシュロの木と、エキゾチックによくマッチしていたのだろう。
移転の張り紙は、いつ見ても悲しい。でも閉店ではないし一時移転なので、その点はホッとする。
昔の人はセンスもよかったし、愛情を込めて建物を作ったんだなあと、しみじみする。いまのぱさぱさの建物とは比ぶべくもない。
新生・平楽寺書店ができたら、今度は覗いてみますから、それまでどうぞ社長さん(77)、お元気で。