明治の近代和風建築
最初は、時代が新しめの住宅を見る。
大正2年に竣工した川崎市内にあった大地主のおうち。なんと完成まで22年もかかったとか。それほどかかってしまったのは、木材の調達に20年を費やしたから。
明治後期の貴重な近代和風建築だ。戦後は料亭になったそうだ。
シャンデリアのかかる和室が手前に見える。
ほとんど神社仏閣のよう。透かし彫りも見事だ。
瓦も、たぶん家紋入りで凝っている。
こういう潜り戸、豪華な和風建築にはあるなあ。もちろん実家にはなかったが、ちょっと懐かしいかんじがする。
光が降り注ぐ庭と暗い室内。
陰影礼賛。
ガラスがモダン。明治には貴重なものだった。
では中へ。
畳にシャンデリアはさすがに・・・(汗) 昔はシャンデリアって、富の象徴だったからなあ。
入り口は意外にシンプルだ。
神社仏閣のような屋根なので、個人のお住まいとは思えず。
料亭に使われたというのも、なるほどだ。
大きな木製のライオン?がお出迎え。施主は本当は洋館に憧れていたのかも?
ガラスと障子のミックスした引き戸が粋な上がり口である。
玄関の奥は仕事場だったのか?
糸紬や機織りの道具だろうか?
上がり口の奥の客間。庭の緑が美しい。
時計があるだけで、懐かしさ倍増。
年代物のタンスも。
ふんだんにガラスが使われている廊下。
上部にあるエックスが浮き出る小さな障子窓もおしゃれだ。ガラスが入って雪見障子っぽい。
手まりのような灯り。
どきどきするような、しんとした渡り廊下。
お庭を見ながらの手洗い所?
回り込んだ奥の重厚な客間。密談用か??
シンプルな欄間。板がそのまま残っているタイプ。
角張った庭石。庭石にしては珍しい。
床の間の設え。
床の間の横の障子は、ここぞとばかりに凝ります。
いや、障子の桟もだけど、欄間のシルエットが美しい。
黄昏時にみたら、庭石が「不穏なのぞきこむもの」に見えるかも。庭石なのに、心穏やかならず。
こっちはくつろげそう。外の緑が映って山からの風が入り、夏も涼しげ。