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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

人生論ノート

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

今月の「100分で名著」は三木清さんの『人生論ノート』。

www.nhk.or.jp

初回の感想。

 

国家総動員法が制定され、個人が幸福を追求するより、国家に身を捧げることを求められた時代に 書かれた書物が現代に響くのは、まさかの「あの時代」と全く同じ重苦しい空気が、現代にも充満しているから。珍しくテキストを買って観てしまった。

 

「ひとびとは幸福について考えたり、それについて語る気力さえも奪われている」(『人生論ノート』より)

「現代も同調圧力がありますよね」(伊集院さんの発 言)っていうくだりは、ああ、たしかに! 仕事をして心身ともに消耗して病んでいく人がこんなに多いのって、「普通こんなもんだから」「みんながんばってやっているんだから」で済まされることなのか?ということなんだろう。

それでも世論は、いままでの多過ぎる、そして過労死などの大き過ぎる犠牲を払った結果、やっと「いつまでもこんなことやってらんない!」と言う風に、わずかずつながら動いているみたい、とはKちゃんの現場からの意見。

 ☆ ☆ ☆

最終章を見る。

NHK総合報道規制が厳しそうだけど、幸いなことにEテレはノーチェックらしい。(見ても理解出来ないのかも?)


「三木は歴史修正主義者を激しく非難した」
「歴史は死(死者)と等しく『真実』である。それは共に尊重すべきものであるからだ」
「歴史を自分たちの都合に合わせて修正することは、歴史に対する冒涜であり、それはまたその時代の死者たちをも冒涜することと同じ」


そうか、靖国にいくら参拝したって、歴史を直視できなければ、英霊を冒涜してるってことになるのね。

 

中身の濃い解説は、哲学者の岸見一郎さん。ソフトな語り口と、ご自身の体験談も交えた真摯で誠実な解説は、内容とともに感動を呼んだのではないか。難解なテキストを、シンプルな言葉で、具体的な事例をあげながら噛み砕いてくださったおかげで、多くの方が、三木清の思想についていき、感動を共有することが出来たと思う。ありがとう、岸見さん。

 

岸見さんのおっしゃるように、従軍体験のある数少ない哲学者である三木清が、終戦後も牢獄にとらわれ続け、獄中で亡くなったことが、大変惜しまれる。