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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

知事室、正庁、中庭。

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

そんなふうに府庁の2階にあがり、「知事室の見学ができます」の張り紙をみて、執務室のおじさんに「見学なんですけど・・・」とおそるおそる声をかけてみる。

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紳士的なおじさんは、ちょっと驚いた顔をして、すぐうれしそうな表情になった。どうやら久しぶりの見学者だったらしい。いそいそと席を裁って、隣の知事室に案内してくださり、懇切丁寧に説明をしてくださった。

 

あまりに熱心な説明だったので、写真を撮る隙がなかった(笑)

 

 明治37年に知事室ができたこと、大切なお客さまを迎える入口には三角のペディメントがついていること、日常仕事で出入りするドアの上にはペディメントがないこと。

 部屋の装飾は、すべてギリシャの国花「アカンサス」であることを、彼の説明で知る。いや、部屋だけではなく、階段の装飾もアカンサスの花や葉っぱであることも。

 彼の説明によれば、明治期の西洋建築の装飾は、当時たまたまヨーロッパで流行していた「アカンサス」の建築装飾が、そのまま「洋館の装飾=アカンサス」として、日本に持ち込まれたそうだ。

 

 東の窓からは比叡山が見える絶好のロケーションだ。部屋の片隅には、大正天皇昭和天皇即位の礼が府庁の正庁で行われたときの担当者の事務机が今も残っている。窓は沢山あるけれど、採光だけでは暗いので、窓の向かいに大きな鏡がつけられて、より明るくなるよう工夫されていた。

 暖炉は大理石とタイルで、凝った装飾がほどこされている。格の高い格天井で、壁は煉瓦作りの上に漆喰で塗り固めていること、鉄筋コンクリートではないので強度を保つため、壁に厚みがあることなども教えてくださった。

 

 引き続き隣の「正庁」の部屋へ移動する。「正庁」とは、玄関の真上である正面に当たる部屋で、公式行事や式典、格式の高いパーティやホールとしても利用されたものだった。ロシア(当時はソ連)の宇宙飛行士ガガーリンも訪問されたそうだ。天井は折上小組格天井で、コテで装飾された漆喰の装飾が、上品にシャンデリアを際立たせていた。窓からは、正面のケヤキ並木が見渡せる素晴らしいロケーションだ。

 

現在正庁は貸室もされており、イベント会場や結婚式場にも利用出来るので、ご予定がある方は、是非ご一考を。

 

説明のあと、「中庭や旧議場も見学できますので、お時間があれば、ぜひともどうぞ。もう桜は終わってしまい残念ですが・・・」と次の見学への引き継ぎをされて、お別れする。

 

中庭は、明治・大正期を代表する庭師の7代目小川治兵衛氏の設計。下の写真は、「桜守」として知られる16代佐野藤右衛門氏とその先代が、円山公園祇園しだれ桜からとった種より育てた孫桜。すでに葉桜だけどね。

 

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松平容保の名をとった珍しい品種の容保桜や、近くの寺院にあったものを譲り受けた樹齢300年のビャクシン、五条大橋橋脚の石柱などもある。

 

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庭はきれいに整えられていたが、クローバーやタンポポもほどよく花びらいていた。

では、次は旧議場へ。