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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

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甲州の民家はイワヒバ・ハウス

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

次は山梨県甲州市の農家だ。再び一般的な民家に戻る。・・・ん? 一般的かな? すごく軒が低い。この軒の低さは、神戸の古い民家「千年家住宅」みたいだ。

 

もともと山の斜面に建てられていたので、風を防ぐためにこんな風になったそうだ。

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「芝棟と土座のある甲州民家」ってあるけど、芝棟って? 

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「芝棟」とは、茅葺き屋根の棟に芝土をおいて棟の固めとしたもの。芝土に生い茂る植物が根を張ることで、棟を固定し風雨への抗力を高める棟仕舞の一手法だ。しかし1960年代以降、茅葺き屋根の消失とともに急速に姿を消した。

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屋根の頂上にはイワヒバを植えてあるらしい。土を入れて屋根が飛ばされないよう、土を入れて重みを持たせてあるのだ。

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なぜイワヒバなんだろう? と気になって調べてみた。

かなり不思議な植物で、分類は苔類らしいけれど、水はけさえよければなかなか長寿を保つそうだ。冬眠したり、乾燥しても仮死状態にはなるけど枯れることはないみたい。けっこう古くから(文化文政の頃らしい)日本人に愛されてきた古典園芸植物だと、下のHPに書いてあった↓

いわひばとは

 

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現在は、雑草や、もしかすれば雑木などもはえているのかも。草取りをするには大変すぎる場所だし、しょうがないか。っていうか、むしろ根を張ってくれるから草はウェルカムなのかも。

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こちらの花は植えられたもの?? 青空にピンクがやさしい。

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遠目で見ると雑草なんだけどね。

 

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反対側に回ると、屋根全体が苔むしている。もふもふの緑の屋根だ。棟には草どころか樹木が!! いいのか? 大丈夫なのか?

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裕福な広瀬家ではあったけど、以外にも質素な暮らしぶり。

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中は土壁で籠や「しょいこ」などがある。本業は農家だけど、農閑期には荷物の運搬業をされていたらしいので、これらは大事な商売道具なのだ。

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まるで土蔵のように、あちこちに格子の入った窓がある。かろうじて採光をとっている。別に板で仕切ったりしたとは思うけど、冬は寒かったろう。

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天井はすだれのようなもので覆われている。

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ものすごく味のある空間だ。斜めの木が素敵。

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このときには曇っていたけど、こんなに外が明るい。厚い土壁にちいさな格子窓が少ししかないですからね。

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素朴で力強い屋根。17世紀の終わり頃には、家はこんなだったんですね。

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風が強くても、これだけ軒が低ければ安心感がある。

 

「芝棟」にすっかり注意を奪われていたけど、「土座(どざ)」という説明もありましたよね。下は「イドコ」と呼ばれるムシロ敷の居間で、このような床を「土座(どざ)」というのだそう。

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ムシロの下は地面を付き固め、茅束が敷き詰められているとか。

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柱などが土壁で塗り固められた壁面は、かっこいいなあ。

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こちらは山側。ちょっとイングランドの田舎の居酒屋風、かな?