「ひよっこ」の歴史年表に記される光。
今日の朝の連続ドラマ「ひよっこ」のクオリティの高さ! 2回見て2回とも涙が止まらない(ドラマが終わってから止まったけど)。
何度も出てくる「おじぎ」のそれぞれの意味合いの温かさや感謝を思うと! それぞれの無言の「おじぎ」に込められた豊かなボキャブラリーに、いちいち感動する。
(いのっちいちおしの)ライン長の松下さん、素晴らしい! ちょっとした役どころなのに、そのひとこと、その表情ひとつに、たくさんの情報がぎっしり詰まっている。地味だけど「松下さん」が大好きな人、日本中にいっぱいいるはず。実は彼がとってもいい人で、「乙女たち」のことをちゃんと尊重していたのを知るのが最後の日だったとは。
真面目で優等生で生意気のかたまりだった豊子ちゃんが叫ぶ「いやだ!」が、切なすぎる!いとおしすぎる! 今日のヒロインは彼女だ。みね子の歴史年表だけでなく、視聴者やドラマの中においても重要な事件になるはず。
よく言われる「声をあげないと!」という意味の本質が、今日の15分間のドラマには凝縮されていた。今ではすっかり手あかがついていたり、理屈っぽくなってしまったり、ときには暴力も辞さない「声をあげる」になってしまったけれど、元々はこういうことなんだよね!
他のひとの気持ちをも代弁し、心からまっすぐに出る言葉に、ひとは胸を打たれざるをえない。
たとえ聞き届けられなくても。状況は変わらなくても。
それでも声をあげることで、何かが確実に変わる、ということを知った今日の「ひよっこ」でした。15分間の名作。
宇治田原にて文学散歩
リアル6月1日は、京都府宇治田原へ。近江八幡の読書会メンバー有志の方々と、マイクロバスをチャーターしての文学散歩。緑とお茶と神社仏閣と。
最初に行ったのは猿丸神社。百人一首で有名な猿丸大夫の神社で、絵馬もおみくじも猿尽くし。ちいさな祠の前の一対のお猿さんは、宮司さんによれば「狛猿ではありません」。どちらも口を閉じてますしね。
毎年素晴らしい企画をされてくださり、うれしい限り。今回の午前の部で見学予定に入っていた宇治田原の「禅定(ぜんじょう)寺」は、春先にとても行きたかった場所だけど、アクセスが難しいのであきらめていたところ。思いがけずうれしい機会をつくっていただき、感謝感激だ。
以下は午後の部の神社にて。
幸いお天気にも恵まれ、楽しい一日を過ごすことができた。詳細については、東京方面旅日記がおわったら、引き続いて宇治田原レポートをご報告しますね。
明治の近代和風建築
最初は、時代が新しめの住宅を見る。
大正2年に竣工した川崎市内にあった大地主のおうち。なんと完成まで22年もかかったとか。それほどかかってしまったのは、木材の調達に20年を費やしたから。
明治後期の貴重な近代和風建築だ。戦後は料亭になったそうだ。
シャンデリアのかかる和室が手前に見える。
ほとんど神社仏閣のよう。透かし彫りも見事だ。
瓦も、たぶん家紋入りで凝っている。
こういう潜り戸、豪華な和風建築にはあるなあ。もちろん実家にはなかったが、ちょっと懐かしいかんじがする。
光が降り注ぐ庭と暗い室内。
陰影礼賛。
ガラスがモダン。明治には貴重なものだった。
では中へ。
畳にシャンデリアはさすがに・・・(汗) 昔はシャンデリアって、富の象徴だったからなあ。
入り口は意外にシンプルだ。
神社仏閣のような屋根なので、個人のお住まいとは思えず。
料亭に使われたというのも、なるほどだ。
大きな木製のライオン?がお出迎え。施主は本当は洋館に憧れていたのかも?
ガラスと障子のミックスした引き戸が粋な上がり口である。
玄関の奥は仕事場だったのか?
糸紬や機織りの道具だろうか?
上がり口の奥の客間。庭の緑が美しい。
時計があるだけで、懐かしさ倍増。
年代物のタンスも。
ふんだんにガラスが使われている廊下。
上部にあるエックスが浮き出る小さな障子窓もおしゃれだ。ガラスが入って雪見障子っぽい。
手まりのような灯り。
どきどきするような、しんとした渡り廊下。
お庭を見ながらの手洗い所?
回り込んだ奥の重厚な客間。密談用か??
シンプルな欄間。板がそのまま残っているタイプ。
角張った庭石。庭石にしては珍しい。
床の間の設え。
床の間の横の障子は、ここぞとばかりに凝ります。
いや、障子の桟もだけど、欄間のシルエットが美しい。
黄昏時にみたら、庭石が「不穏なのぞきこむもの」に見えるかも。庭石なのに、心穏やかならず。
こっちはくつろげそう。外の緑が映って山からの風が入り、夏も涼しげ。
今は『1984』に近づいている。
久々にリアルタイムな記事。
NHKラジオ第1は、Eテレ以上にぶっ飛んでいて面白い。金曜日の「すっぴん」の午前9時からある『高橋ヨシキのシネマストリップ』の映画解説が面白すぎるので、できるかぎり聴くようにしている。新しい映画だけでなく、古い映画の解説もあって、観たことのあるものなら「へええ〜へええ〜」と、マニアックな視点と深い考察に感心。
先週の分を遅ればせながら「聞き逃し配信」で聴いてみた。今回はジョージ・オーウェル原作の有名なディストピア近未来小説「1984」(1956年版)についての解説。
司会の高橋源一郎さんと、ヨシキさん二人が声を揃えて「こわいです!! とってもこわい!! 何の救いもない! とことん気が滅入る映画ですよね」と声をそろえる。「だって、ここで描かれている世界って、まさに今ですよ!」
映画の中の世界は徹底的な管理社会。家族ですら信じられない相互監視社会。言葉も意味を改ざんされ、自由も個人のプライバシーも皆無。恋愛も禁止。常に戦争が起こっていて、政党は1個だけ。主人公の仕事は、政府の都合のいいように「歴史を書き直す」こと。
源一郎さんは、「この世界の『平和省』は戦争をやる部署なんだよね」
ヨシキさん。「権力は権力にしか興味がない。そして権力というのは、他人をふみつけることでね」。「どんな権力者も、自分の思うようにしたい。過去も未来も含めて世界を作り替えたいんですよね」。「権力っていうものは、放っておくと『1984』みたいになります」。
源一郎さん「この内容を身近に感じてしまって、本当にぞっとするよね。ヘイトスピーチとかテロ等準備罪と同じことが描かれてるんだよね」
最近ネットでは、「『1984』は警告の書であり、(政府のための)マニュアルではない」という笑えない笑い話がまわっているとか。
6月2日(金)までは聞き逃し配信で聴けますので、ぜひ↓ 下のリンクより5月26日(金)9時台「高橋ヨシキのシネマストリップ」を選択してください。
(青文字は現在確認できる「1984」的社会現象)
まずは風景印を求め、川崎を奔走。
立川までJRで行ったら、小田急線に乗り換える。次の目的地は向ケ丘遊園なのだけど、生田で下車。生田には駅近くに郵便局があり、生田の風景印を押してもらおうと思ったから。駅前の和菓子屋さんには塩豆大福が並んでいて、とても魅力的だったけど、涙ながらにパス。なにしろ暑い日だったし、戸外を歩き回る日程ですからね。
生田駅前郵便局の風景印は、さすが民家園のお膝元なのでデザインも迷いなくドカンと民家だ。
次は向ヶ丘遊園で下車して、「登戸郵便局」に向かい、炎天下を汗だくに奔走する。歩いて10分くらいのはずなのに地図を頼りに歩くも、なかなかたどり着かない。仕方なく前からやってきた、とても上品な白髪の女性に道をきいてみた。説明、むずかしいわねえ、とつぶやきつつも、かわいらしく若々しい話し方の彼女は、的確に教えてくださったので、やっとのことで郵便局を発見。でも迷子になったあげくにたどり着いたので、今度は駅へ戻る道がわからない。こういうときには、早々に局員さんに訊く。
子どもたちが幼稚園や小学生の頃のママ友Mさんと駅で待ち合わせているのだが、迷子になった分、時間がギリギリになってしまい、焦る焦る。ショートメールで連絡を取り合いながら紆余曲折の末、なんとか落ち合えた。MさんはFB友達でもあるので、ほぼブランクを感じない。なんといっても10年以上たつのに、お変わりないのでね。
Mさんが車を出してくださったので、そのまま日本民家園へ。彼女は時間的にお昼ご飯だけおつきあいいただくので、民家園はご一緒できないけれど、外から入れる合掌造りのお蕎麦屋さんランチを計画してくださった。
民家園は駅からさほど遠くはない山の中にあった。お蕎麦屋さんは、平日というのに、満員御礼状態で順番待ち。(写真は私が民家園を巡回中で、すでにお蕎麦屋さんは終了時間だったので、閑散としていますが)
10年以上経っても、話すスタンスもムードも変わらず。一気にアラウンド40に若返る(笑) 冷たいお蕎麦のあと、名残惜しくてデザートもいいですか?とお願いする。実は案外、寂しがり屋な私。あんみつとみつ豆を追加する。夏には彼女は滋賀県に仕事で見えるので、そのときに、またね。
もちろん、お蕎麦もみつ豆も美味しかったですよ!
もう一度、民家園の入り口に戻り、入場料を払って荷物をコインロッカーに預ける。今回は取り出しのときにコインが返却されるので、本来のコインロッカーだ。入場料は400円。そのときは「安い!」と思ったが、帰るときには、ちょっと違う感想を持った私である。
「安すぎる!!」と。
一橋大学本館
この建物もアーチで統一。
1930年(昭和5年)に伊東忠太の設計、飛島組の施工により、旧東京商科大学本部及び教室として建築されたもの。
窓の下には車輪のようなレリーフ。
車寄せの柱には、やっぱり伊東忠太ワールド炸裂。
入り口は3つ。迷うね。どれかはトラップかもしれないし(笑) その先にもアーチがあるので、いくつもアーチをくぐって本館に入るみたい。
サイドにあるこれは、何かの窓口なのかな?
柱やアーチ越しに見ると、こんなふう。
車寄せの天井とあかり。図書館と同じかな。
車寄せの外観に、なにかついてるぞ。
あっかんべぇ〜。
コケにされる。しかも2匹に。
ときは緑したたる季節。
部分的にはシックなんですよねえ。
緑とマッチしてます。
あれ? 車止めの屋根瓦は青色だ。 不思議な建築。
昨年見そびれた一橋大学を、やっと拝見することができ、満足満足。
国立駅に戻り、コインロッカーに預けた荷物を取り出す。書き忘れていたけど、私の知らないうちに時代は進化していて、コインロッカーはカードロッカーになっていた。私は「Suica」ではなく「ICOCA」を使ったんだけどね。たぶんこのカード文化、まだ地方にまでは至っていないとは思うけど。
一橋大学 附属図書館
この威風堂々たる図書館は、1930(昭和5)年6月竣工。伊東忠太門下の文部省建築課設計陣の手による。
門下といえど、伊東忠太の息吹はそこここに。アーチと不思議な生き物たち。
肉眼ではわからなかったけど、カメラをズームすると、スクラッチタイルの様子も、鳥らしき生き物も確認できる。
入り口の上には、門番のようなペアの生き物たち。地獄の犬かしら?という不穏さだ。
ほとんどの窓や入り口はアーチになっているんだ。
そして、窓を分ける柱?などにも装飾が。
窓ガラスにも模様があるけれど、もしかすると内側から見たらステンドグラスになっているのかも?
デーモンっぽい顔のようにも見える装飾。灯りには角か生えている!?
ズームしてみました。やっぱりなんだか怪しげ。
図書館の入り口もアーチで、クリーム色の壁面が素敵。大理石をはめ込んであるのだろうか?
ドームになった天井から下がる灯りも、上品で素敵だ。素敵だけど、やはりツノ、もしくはトゲが(汗)
柱に、覗き見してるみたいな不審者を発見。
シンプルかつ上品な返却ポスト。伊東忠太氏は一見オーバーデコラティブなひとのように思えるけど、ちゃんと引き算もわきまえてる。返却ポストの舞台裏は大変な惨状なのだけど(できれば返却カウンターに返していただいた方が、本にとっては幸せ)、せめて表側だけでも凛とした佇まいでないとね。