条例に反旗を翻す
今日もKちゃんと台所で井戸端会議で盛り上がる。台所での井戸端会議とは、とりとめもない、そしてたいていは他愛もない母娘のおしゃべりである。
Kちゃんの今年できた高校の友達で、作家志望かつアニメ好きの女の子がいる。古本屋めぐりが趣味で、しかも100均ワゴンの本しか買わない。本代を稼ぐために、極力節約しているという、筋金入りの本の虫だ。Kちゃんによると「なんとなく雰囲気もおかーさんに似ている」というから、がぜん私も興味津々な女の子である。
その彼女が「東京都青少年健全育成条例」に件で激怒した。なぜ一度否決されたにも関わらず、しかも反対意見が多数あったにも関わらず、なぜか(しかも超スピーディに)成立したことに激怒したのだ。
雰囲気は私に似ているらしいが、頭の中ははるかに彼女の方がシャープでクレバーなので、激怒した勢いで冷静に事態を分析し、原稿用紙15枚にわたる反論の文章を東京都に送りつけたらしい。
「どうして日本の宝であるマンガやアニメを蔑ろにするのか、BL(ボーイズラブ)についても、これで救われているひとがいることを知ってほしい」など、言いたいことは山積らしい。「どうせ見向きもされないのはわかっている。だけど、なにもしないよりはましだから」とも。
アツい反骨の人であるKちゃんは、アニメには全く興味がないにもかかわらず、行動する彼女にいたく共感&感動し、友情を深めたらしい。
私の中の七不思議のひとつに「どうして東京都民の方々は、石原都知事でOKなのだろうか?」というのがある。もちろん、NOを表明している方もたくさんいらっしゃることは、百も承知しているんだけど、それでもあのひとが首都の知事に居続けているのは何故?
とはいえ、もう署名や抗議ではラチがあかないことが判明したようで、東京アニメフェアへの各出版社のボイコットなど実力行使が始まったようだ。
マツコ・デラックスさんも東京のローカル番組で、石原都知事の同性愛者/女装者への差別的発言に激怒しつつ、非常にクレバーかつ公正な見解でもって、子どもに有害図書を見せないためというのは別の意図の隠れ蓑にすぎないのでは?と暗に?示唆していたっけ。
でも私がけっこう心を動かされたのは、傑作「ハチミツとクローバー」で有名な漫画家/羽海野チカさんの公式ブログの記事だったりする。マツコさんの「吠え」とはまったく真逆な、切実だけど、自信無げでつぶやきのような小声の抗議。でもこれってなんだかとても心に響くんですよね。