『俳句歳時記』を立ち読み。
備え付けのPは家族で使っているので、順番待ちのことがままある。そんなときには、階段横にある作り付けの書棚から本を抜き取り立ち読み。いやいや階段途中だから、階段に座って読む。「5分待って」と言われたからと言って、5分で終了するとも限らない。
そんなときに便利なのが『俳句歳時記』。池田澄子さんにハマる前から、本屋さんで立ち読みし、そのあまりの面白さに春夏秋冬の4冊を購入。角川文庫の第4版だ。
目次には大雑把に「時候」「天文」「地理」「生活」・・・などの項目に分かれ、その項目のなかで時系列に、例えば夏ならば、「夏のはじまり」から「夏の終わり」までの季語が続き、掲載ページが示してある。たとえば「時候」のなかでは「立夏」「夏めく」「麦の秋」「土用」「夏の果」などの季語が並ぶのだ。
昨夜は暑かったので「熱帯夜」を引いてみた。
蛇皮線を鳴らし古酒飲む熱帯夜 掘 古蝶
まつくらななかに階段熱帯夜 吉田汀史
手と足とわからなくなる熱帯夜 五島高資
寝苦しい夜にはどうするか?
もういっそ寝ることは諦めて、楽しくすごしちゃえ!楽器を鳴らして酒を飲んで過ごしちゃおうか。沖縄テイストがまた、南国気分を盛り上げる。
のどが乾いたので、階下に降りて冷蔵庫を開けて・・・の前に階段の暗さと、昼間には感じた事の無い、圧倒的な存在感におののいたり。
眠たくてまどろみかけては暑くて目覚め、わけ分かんないくらいにカオスな意識になってしまう。蟻地獄のような熱帯夜なのに、そこはかとないクールなユーモアが、寝苦しい自分から幽体分離するかのように客観的。その第三者の視点が自分自身を救っているよう。
以上は独断解釈なので、正解じゃないかも。俳句はまったくの素人だし。でも辛いとき苦しいときこそ、俳句を詠むことで辛さ苦しさと距離が取れる、ときには「ちょっと笑っちゃおう」的余裕さえ生まれる。たぶんそれが、私が俳句に憧れてしまう理由だろう。
ネットには、こんな句もあった。
羊になつたり獏になつたり熱帯夜 松井季湖
つらく寝苦しい夜を、こんな洒脱な俳句に変換できたら、人生は楽しくなりそう。