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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

「こころ」って、実は。

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 久々にNHKが読書会を開催した。テキストは文庫のロングセラー『こころ』。太宰治の『人間失格』と人気を二分する小説だ。

 番組のタイトルは、『漱石「こころ」100年の秘密』で、放送は昨夜だった。録画してあったのを今夜見たのだが、たいへんエキサティングだった。

 番組の内容として、NHKのHPには、このように書かれている。

 文豪・夏目漱石の「こころ」が新聞連載小説として登場して今年でちょうど100年。教科書でもおなじみの「国民文学」だが、し細に読むと実は謎だらけの作品でもある。「ボーイズラブ」「三角関係」「遺書」「自殺」…とまるで「アブない禁断の書」のような小説世界。漱石の狙いはどこにあったのか?なぜ日本人は100年もの間「こころ」を愛読し続けたのか?漱石文学に一家言ある達人たちが集い、スリリングな読書会が開かれる。

 読書会のメンバーは、『こころ』初読みの読書家女優・鈴木杏漱石の研究者・小森陽一脳科学者・中野信子,名作『坊ちゃんの時代』の原作(漫画は名コンビの谷口ジロー)を書いた小説家・関川夏央高橋源一郎

 まず冒頭は、当時の小学生が『こころ』を読み、感動のあまり夏目先生にファンレター?を出したところ、「あれは子どもの読むような小説じゃありません。やめておきなさい」と、冷や水を浴びせるような返事が残っていたそうだ。

 番組の最初は、「読み終わってもよくわからない小説」「先生の奥さん、静さんは魔性の女」「いきなり海水浴場で出会う先生と私のシーンは、ホモセクシャルな感じもある」「先生って、なんか、やなタイプ」と、いきなりな発言の数々(笑)

 しかし順次、ええ〜! そうなの? そうなの! と驚愕の読み解きが開陳されて、それは面白かった。羅列してみると、こんなかんじ↓

 『こころ』という小説は、政治小説で、大逆事件と乃木将軍を(こっそり)批判したものだった。

 「先生」を慕う「私」は、一度「先生」に「どこかでお会いしたことがあるような気がするのですが」と問いかけた。しかし先生は長い沈黙のあと「さあ、私は初めてお会いしたと思うのですが」みたいなウケ答えがあったらしいのだが、これは、「私」は「過去の(ピュアな)先生」であるから、というSF説が開陳された。

 それは「なんて斬新でロマンチックな解釈!」と、思わず膝を打つ。

 上記につながる話で、ラスト、「私」が臨終近い父を残し、ふたたび汽車で東京に戻る。先生はすでに亡くなっているので、「私」が会いにいくのは、「先生の奥さん」であり、実はふたりは以前から密かに想い合っていて、その後結婚するのではないか、と予感させて小説は終わるという指摘。しかも、先生はそれを知っていたという。

 えええ〜!? 私思いつきもしなかった・・・うかつ。

 つまり、乃木将軍は妻を道連れに殉死したけれど、先生は「私」(過去のピュアな自分=先生)に妻を託した、ということで。

 他にも「K」とは誰か?とか、先生の妻・静(しづ)は乃木将軍の妻・静子さんだとか(モデルというわけではなく、殉死批判のため名前をお借りした)、先生はヒマすぎて自殺してしまったのかもとか、驚愕の意見が噴出していて、ぎっしりの内容。録画しておいてよかった!

 夏休みの初めにあったら、これを見た中高生のオモシロ感想文が沢山提出され、先生方は斬新な読解の数々に、のけぞられたことだろう。惜しかったなあ。