秘密の教え
そんな「秘密の教え」である密教寺院での、いかにも、な仏像を最後に知ることになる。
御影堂にある弘法大師の念持仏(ねんじぶつ)だった不動明王を祀ったお堂があるのだが、その扉はぴったりと閉められ「秘仏」の看板がかかっていた。
普通「秘仏」とはいっても、年に1度、あるいは60年に一度、みたいな感じで頻度の差こそあれ公開される機会はある。
ところが、この不動明王は、空海が高野山に旅立った後、光背を修理された方が入滅されて「秘仏」となって以来、だれも見たことがないのだ。学術調査はされたことがあるらしいが、修理してあげて「入滅」することになるなんて、調査するのも命懸けの覚悟で臨まなければならない。おそるべし、秘仏。
調べてみると、密教系の仏像には秘仏が多いのだとか。やはり秘密の教えなのだ。
そんなミステリアスな東寺を、しかし、のんびりとツッコミつつ過ごした時間は、のどかな楽しいひとときだった。さすがは世界遺産、懐が深いのである。
☆写真で振り返る東寺の時間☆
東寺へいく目印は五重塔。塀の外から道を隔てて見る五重塔。信号機とツーショット。
長い土塀沿いに歩いて、ここから入りました。お堀沿いに行けばもっと近かったのに。おかげで、ややテンションが下がる。入場した後まもなく見つけたトイレにペーパーがなく、もっとテンションが下がる。
しかし、お土産物の特異なセンスに驚き、現代お守り事情に知見を広め、久々に拝観料を払ってチケットを買った時点で「お寺に来た!!」という気分が盛り上がる。
境内にて。サルスベリの遠くで美しい青空の下、修学旅行の生徒カップルが取り巻きにはやされながら、ノリノリでツーショット写真を撮られていた。芸能人の明るく和やかな交際宣言会見みたいだった(笑) その後は、友達同士で写真大会。青春である。
そんな明るい「いかにも」な少年少女たちとは裏腹に、池で甲羅干しをしているカメを長いこと見ている少年もいた。暗さも、孤独もまた、青春である。
世界遺産で三々五々、修学旅行気分を満喫する生徒たち。青春の1頁である。密かに私もまぜてもらう。
紅白の萩の花が咲きこぼれていた。