掃除のおまけ、あるいは。
家中の大掃除、というのはとても無理だと観念している。だから、ある程度片付いたらヨシとしよう、と。
おとといは自分の部屋、昨日は年賀状、今日は玄関と生花をそそくさとやっつけつつ、今年の掃除のメイン、台所に挑む。
普段台所にいる時間が長いのだから、そこがきれいだったら、どんなにうれしいか♪とずーっとこんな機会を狙っていたのだ。
どれくらい長時間いるかというと、オフの日はぶっ続けで3時間仕事をしていることも。とはいえラジオ(NHK-FM)があるのでとても楽しい。台所にいるのは、まったく苦痛ではない。
あ、仕事がえりのときは別ね。疲労困憊でご飯をつくるとどうしたって気持ちがささくれだっているので、最小限の労力でできる範囲のことをすると言う風に学習した。
でも台所にいるとどうしてもお料理をしてしまうので、掃除をスルーしてしまうのだ。今回は晩ご飯を犠牲にしても、掃除に邁進する所存であった。ほぼ一日弱をかけ、やっとまずまずのキレイさになり、たいへん満足。 こまかいところをやりだすとキリがないので、普通にキレイ(いや、キレイ好きな方なら、まだ目を背けるかもしれない範疇だが)というところでヨシとしたのだ。ま、ともかくも私が満足ならいいじゃん、ほぼ私が使うんだしね。
という長い前フリ(えっ!?)だったが、きのう午前中Kちゃんは、自分の部屋の掃除を敢行した。半日頑張ってキレイに片付けた。で、掃除をしたときの話をしてくれた。
「掃除をしてたら、ウチが小さいときの(10歳くらいか?)ノートがでてきたねん。開いてみたら、絵とお話が書いてあって」
あーわかる! おかーさんも自分の部屋掃除したら、Kちゃんの小さい時の落書きノートや学校の自主学習ノート見つけて、思わず全部みたよ! 自主学習のノートにおばあちゃんのおはぎの作り方をイラスト入りで描いてあったのとか、愛知万博のスタンプを押しまくってるのとか、懐かしかったわー!
話は戻り、Kちゃんはかつての自作のお話を語ってくれた。
「リリはリボンのついた箱を見つけました。リボンをほどいて箱を開けると、リリは箱の中に吸い込まれていきました。って書いてあるし、なるほどなるほどって次のページ開いたら・・・全くの白紙やったねん!! もう、続きが気になって、気になって」
「しかもタイトルは『リリとルルとレロ』で、女の子とウサギとリスの絵がかいてあるねんで! ルルとレロはどうしたんや!?って思うやんか!」
たしかに。
きっとそのときの彼女の頭の中では、どんどんストーリーが流れていたんだろうけど、書く(描く)手が追いつかなかったか、途中で飽きちゃったんだろうね。
小さい頃、アドリブでガンガンストーリーを作っていく彼女のおしゃべりは、ずいぶん聞いていたので、口で言っていたら最後まで決着をみていたんだろうな、きっと。毎日ファンタジーがその口から流れ出していたもんなあ。スカーフを足に巻き付けて履いたりして、斬新なひとりファッションショーもしていた。マスコットを総動員して、不倫あり、離婚ありのどろどろ群像劇を繰り広げていたりとか。いやー、ホントにキミには楽しませてもらっていたよ〜!
掃除をすると、古いアルバムの中のように「思い出が一杯」なパンドラの箱をあけてしまうことは、往々にして起こりえる。「思い出が一杯」に浸っているうちに、「掃除」というお仕事の進捗状況に、大幅に支障をきたすことは、皆さんの知るとおりである。でも、たまにはそんな甘美な誘惑に浸り、新鮮な気持ちで思い出の品を発見するのもまた、楽しからずや、なのだ。