アンパンマンの正体
職場で、アンパンマンの顔デザインのパンについての話題が出た。
成人してから、そのパンを買った同僚の方がいらして、一口食べて大ショックを受けたという。
「だってアンパンマンなのに、中身、チョコなんですよ!? 口は餡を予想して準備していたのにチョコだったから、最初何かわかんなくて。口の中、大混乱でした! アンパンマンなのに! 裏切られた気分でした! やなせたかしさんが怒りますよ!」
その話を聞いた人たちは、もしアンパンマンのパンをみたら、中身は何か調べなくちゃね!、追跡調査してみましょうという結論を出し、その日のその話は一区切りした。
後日、実直なひとりの職員さんが、「わたし、あれからアンパンマンのパンを発見したので、中身を調べたら(パン売り場のパン説明を読まれて判明)、やっぱりチョコレートでした!」という報告をされた。
他にも「中身はチョコだった」という証言者もいて、「なぜアンパンマンパンの中身はチョコなのか」という検証段階に入る。これは「子どもは餡よりチョコの方を好む傾向が高いから」という結論に至る。
私としては、もともと「アンパンマンパンの中身はチョコ」を自然に受け入れていた派だったので、逆に「アンパンマンパンの中身は餡であるべき」という意見に、新鮮な驚きをもって感心した。
彼女の意見としては、売り上げや利益重視で消費者に迎合することなく、原作に忠実でなければいけないのだ。アンパンマンパンの中身がチョコであることに、何の違和感も感じていなかった自分を深く恥じ、反省したのだった。
いつものことながら、曇りのない眼を持つ彼女のピュアな感性は、尊敬に値する。彼女から得たもの、学んだものは大きかったな。