迷子猫、お目見え
蔵書点検期間で、長らく休館していた図書館が昨日再開された。私はたまたまシフトの休日に当たっていたので、幸運にもその修羅場には居合わせなかった。
休憩もままならない殺人的な忙しさだったそうだ。返却/貸出し業務で手一杯、矢折れ力尽きるような壮絶な戦(いくさ)場の様子は、昨日の仕事の残り具合や、やっとのことで記されたカウンタ―日誌からイタイほど伝わって来た。
そんな再オープンの翌日なので、昨日は今まで教えてもらった仕事上のあれこれのメモを勉強しなおし、再度整理して頭に入れ直す。もっとも入れ直してもすぐに忘れてしまうという悲しいお年頃ではあるのだが。
昨日は寝たり起きたりのしんどい一日だったのだけれど、いやに長い一日でもあった。今日はカウンタ―周りを飛び回り(でもお昼のいっときは、凪のような落ち着いた時間もあった)、いつのまにか夕方だったりした。こんなペーペーでも、ちっとばかりはお役にたてたような気もする。
というわけで、足を引きずりながらも(どこの図書館も身体が資本の肉体労働者だ!)、ほっとした気持ちで帰宅した。帰宅したら思わぬ出来事が持ち上がっていたことをH氏より告げられる。
「ビニールハウスの畑の作業しよ、思て入ったら、なんか猫がニャー!って寄ってきよるねん。首輪しとるし飼い猫やったみたいやけど、ものすごい怪我していてそこが毛も抜けた状態やねん。ビニールハウスはアツいのに震えとるから、きっとハラペコなんやと思う。なんかやってくれへん?」
と言って、彼はダンボールに子ども達の赤ちゃん時代に使っていた布団を敷いて寝床をつくってあげていた。動物にはいたく優しいのだ。私はウナギの頭(今夜はうな丼にしようと思っていたのでウナギがあったのだ)と牛乳を迷子の猫に差し上げた。猫はそれはがつがつペロペロとお召し上がりになった。
「こいつがニャーニャーってすり寄ってくるから、今日は畑の作業がほとんどできんかった」と嘆きつつも、なんだか満足そうなH氏だった。