一方、『ダ・ヴィンチ』
一方、『ダ・ヴィンチ』である。一つ前の7月号の特集は、『ゲゲゲVSニーチェ』だった。水木しげるとニーチェ!? ニーチェじゃなくて、ゲーテじゃないの?
同じ事を特集の頭のインタビューで呉智英さんが言っていた。「ニーチェと水木先生の共通点? ゲーテだったらわかるけど、ニーチェなんて、全然接点ないよ」
だよね〜。『超訳 ニーチェの言葉』と無理矢理結びつけてる感があるんだけど。
しかも『シーン別処方箋』という頁をもうけて、たとえば「恋愛と幸せに効く!」「人間関係に効く!」とか、ニーチェ氏と水木しげる先生の抜粋した文章を取り上げているんだけど、その後に水木ファンの佐野史郎とさかなクンの対談がある。その結びで佐野史郎が、イイこと言ってるんだな。
「昨今のいいとこだけを取り出したものを読んで、それだけでその作家がわかって、イイとするのはなんだか違う気がするんです。切り取った言葉だけ読んだってダメです」
「自分自身でね、作品を読んでノートに書き込んで作ったものならいいと思うんです。(中略)だから言葉だけを選り抜いた本だけを読んで、ニーチェや水木さんを語るというのは許さん(笑)」
もう特集企画自体を特集内で全否定じゃないか! こんなアンビバレンツな特集を提出した『ダ・ヴィンチ』にツッコミを入れるべきなのか、それをあえて提出した勇気に対して拍手しておくべきなのか、現在答えを保留中なのである。