小耳にはさむ
Kちゃんは電車通学なので、通りすがりの他人様のおしゃべりを小耳にはさんでは、帰宅後、印象的なその日の会話を鮮やかに再現してくれる。
今日は彼女の近くに上品な初老の女性2名が、はんなりとおしゃべりをされていた。お互いに「○○先生」と呼び合って、蕾のついた枝物を持っていらしたこともあり、華道の師範らしい。
とても品のよい会話が続いて、ふと思い出したように片方の先生が話題を投げかけた。
「そういえば、○○デパートに生けてあったのは、なんだかブッキラボウな生け方でしたけれど・・・」
Kちゃんは、上品な会話の中で、いきなり「ブッキラボウ」という形容詞がでてきたことが衝撃(笑撃!?)だったようだ。危うく笑いそうになった、といっていたが、いや、ブッキラボウって、上品な会話の中に出て来ても、ぜんぜん違和感ないよ!
それよりも私には「ブッキラボウなお華」が、ビジュアル的にどうしてもイメージできない。というか、「ブッキラボウ」という語と「華道」の佇まいが、あまりにミスマッチ感覚すぎて、想像すると笑えるものになってしまうのだ。たぶん、Kちゃんの言いたいことは、そういうことなのだろうと思う。
ブッキラボウの関連語も調べてみた。それに「〜な花」を付加すると、そちらも大変シュールなイメージを喚起されて、もう頭の中は、摩訶不思議な華道展状態だ。
ブッキラボウな花、仏頂面な花、水臭い花、けんもほろろな花、つれない花、身も蓋もない花、つっけんどんな花、にべもない花。ほらね。
職人業を持つおっさんたちの無愛想さを想起させるような花って・・・やっぱりビジュアル的にイメージできないなぁ。「座ることを拒否する椅子」ほど過激ではないけれど、なんとなくそっぽ向いた感じかなぁ。
たった今思いついたことなんだけど、いやいや、「ブッキラボウな花」って、ものすごく上品な悪口なのかもしれないな。相変わらず気づくのがスローすぎるって。