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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

ネコや ネコや

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 昨晩、BSプレミアム20時〜『おまえなしでは生きていけない〜猫を愛した芸術家の物語 

第2回 内田百けん.ノラを探した14年の孤独 内田百けん」

 ネットステラより内容を引用すると

 生活のリズムが乱れるからと不意の来客をいとい、鳥を飼っているからと猫を嫌った小説家・内田百けん。60歳を過ぎたころ、ひょんなことから野良猫の“ノラ”を飼い始めるが、猫は間もなく失踪。その不在を嘆いた百けんは、新聞に広告を出すなど、愛猫の捜索に手を尽くしたという。このてんまつをつづった『ノラや』を石橋蓮司主演で再現する。

 石橋蓮司さんの百けんは、ネコに対する溺愛とネコの失踪による悲嘆が渋く演じられて、味わいのあるものだった。

 ところで、今年あらたに我家に迷い込んできた黒ネコも、最近いなくなったばかりである。我家の3代目(血縁関係はない)の黒猫なので、踏襲してクロとおばあちゃんは呼んでいた。そして私たち夫婦はたんに、「ネコ」と呼んでいた。

 なぜかいつもH氏の留守を狙ったように、動物トラブルが発生するのだが、黒猫失踪も、先週のH氏出張時だった。「どうしたんやろう?」と心配していたら、近所の義姉の息子さんが「黒猫が車にひかれていたのを見た」という報告をしてくれたため、2日で心配の決着をみることができた。(確認はできなかったが、たぶんそうだろう) 百けん先生ではないが、「どうしたんやろう?」と消息不明なままだったら、心配を引きずり続けたことだろう。

 たぶん、「あれしてやって、これしてやって」と口ではよく指図していたが、いちばん猫に手をかけなかったH氏が、いちばん悲しんでいるようにも思うのだ。

 平子イワシの頭や、ゆでたトリレバー(のH氏の嫌いな部分)や、チクワをあげたら、ガツガツと食べ、食後はうまかったとばかりにベロベロと舌なめずりをし、ハウスや雑草の茂みでトカゲと戯れ、ブロック塀や切り株で、ひんやりとくつろぎ、隠れ家のような庭の木陰で寝そべっていたのを見ていた私は、(まだ若かったに違いないが)幸せな晩年を過ごした猫に対して、後悔はない。

 しかしそれも、いつも手負いの動物を見つけては、「エサあげて」と懇願するH氏がいたからこそなのである。

 黒猫は、前右足を負傷していたようで、ずっと足を引きずっていた。

 最初、エサをあげるたび「フー」(怒り?)というので、なぜ牽制されるのかわからなかったのだが、どうやら声が出ないので「にゃー」というかわりに思いっきり愛想良く「フー」と言ってしまうのだ、ということが、暫く経って判明した。ケンカをしたのか虐められたのか。運の悪い猫なのだ。

 そんな猫のことをH氏は、「どんくさいやつやなあ」とさも愛おしそうに言っていた。猫はどうやら轢死したらしいと聞いたH氏は、「さいごまで、どんくさいやつやったなあ」と寂しそうにつぶやいた。 

 どんくさいやつだったかもしれないが、最後にいい人間に巡り会うことができて、ラッキーなネコではあったのだ。天国でもどうか幸せに。