読書会@小さいおうち
昨日、怒濤のごとく部屋に籠ってラストスパートをかけ読みふけった『小さいおうち』の読書会に参加する。とにかく何をとっても素晴らしい作品なので、要所をメモるときりがなく、「ざっくり」と感想を述べる。「ざっくり」でさえ素敵な部分がありすぎて、いいたいことはいっぱいだ(笑)
プロ意識を持つ女中のタキさんの最初の雇い主だった「小中先生」が、タキさんのクレバーな部分を成長させ、ウィットに富む知性をはためかせる部分が大好き。ほんの少ししか登場しないのに、かなり重要な役どころの小説家先生だ。
小説に流れるビビッドな五感を駆使した表現のため、目前に映像として繰り広げる感に酔いしれてしまう。もちろん読者の脳内映像なのだが、たぶんだれもがうっとりするような(音声を含む)映像美を体験するのでは。そのためリアルな映像化は、できればやめておいた方がいいと思う。「小説で読む」快楽を思う存分味わった。
「小説で読む」快楽のなかには、脳内体感や感情移入以外に、想像力というものがある。
ひとこともそれを書いてはいないけれど、「あっ!?これはもしや?」と、わざと「欠落」している部分を埋めて行く愉しみとか。「・・・ということは、実はこういうことだった?」という発見とか。ちいさな記述から広がって行く登場人物の生活の変化とか。平易なのに一切ムダの無い文章なので、ものすごく脳が活性化された気もする。
ところで前回タキさんのつくる「ピーナツバター」がおいしそうと書いたが、それについて読書会で述べると、「とにかくすりこぎですりつぶしたらピーナツバターは出来る」とか「売ってるものみたいに甘くなくて美味しい」とか「ピーナツを荒くすりつぶして作る野菜のピーナツあえも美味しい」とか沢山のレスポンスがあった。これも読書会ならではのうれしい体験だ。
『小さいおうち』は語り出すときりがないくらい多面な小説で、当然、読書会自体も大盛り上がりだった。家事の話、恋愛の話、戦争の話、お手伝いさんの話など体験談(70代の方もいらっしゃるので)を交えて貴重な話を聴くことができた。
今日はおばあちゃんがデイだったので、午後からのランチ読書会第2部(!?)にも参加。そこでも山のように読書の話、ドラマの話、夫婦の話などができて楽しい時間を満喫。『小さいおうち』で「大きい愉しみ」を得た一日だった。