『天竺へ』GO!
いこうかどうしようか、さんざん迷った奈良国立博物館で開催中の『天竺へ〜三蔵法師3万キロの旅』に、思い切って行ってみた。おばあちゃんをデイへ送り出した(9時頃)あと出発し、帰って来るまでに帰宅(16時頃)する、という強行スケジュールでいこう、と昨夜いつもの『突発的一人会議』にて決定。
絵巻のストーリーとしては、『西遊記』でおなじみの三蔵法師こと玄奘三蔵が、仏法を求めてインドへと旅立つ艱難辛苦の旅路を描いている。その後のインドでの滞在中の勉学や講義、各国の王様からのオファーが引きも切らないカリスマ的人気、再び唐に帰るにあたって膨大な教典を持ち帰り、それを自ら(弟子とともに)翻訳し、死去するまでが描かれている。
それが、大阪の財団法人藤田美術館が所蔵する国宝『玄奘三蔵絵』。全12巻におよぶ、やまと絵様式の絵巻物だ。「洛中洛外図」のようにたなびく雲に見え隠れする山水や人物は、絵の具の保存状態がよく、実に鮮やかで美しい。カラフルに雅びに描かれている。
しかも人物や動物や架空の生き物たちの表情がゆたかで、おもわず絵の中に引き込まれてしまう。しかもなんだか不思議にキュート。ほとんどマンガのように楽しい。特に天竺でのあれこれな日々は、たいへん愉快。これについては、またあらためてじっくりと。
もちろん画家の先生方は、インドなんて行ったことないので、僅かな資料を参考にし、あとはアーティストの妄想力でカバー。ということでインドなのに、中国っぽい。というか、ヘタすると日本ぽい。インドの難しい当て字の地名では、松や紅葉が風流でうつくしいの。こんなあくまで大和絵仕様なマイウェイを突き進む、画家さんの雅びさが素敵。一人だけインドのターバン巻いてるひとはいたけど、ほとんどソフトクリームみたいだった。当然ながら松や紅葉だけでなく、天竺の人も「平たい顔族」と化していた。
前期後期で絵巻物はその形態と長さ故に展示が入れ替わったけれど、上部に前期後期ともの拡大コピーがあり、物語は飛ばされることなく助かった。
8月28日の日曜日まで開催。ぎりぎりセーフで間に合ったという感じ。結構な人出で、長蛇の列だったし、進み具合はカタツムリ仕様だったので、果たして省略せずに観られるか不安で「えーん」と半泣き状態だったけど、美しくもマンガチックな絵巻は楽しかった。
では明日は玄奘の天竺での日々に、ツッコんでみたいと思います。