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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

闇を切り裂く怪しい悲鳴。

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 お風呂に入ろうとしていたら、Kちゃんが青くなって、息せき切って駆け込んできた。

「ああ、よかった! 間に合った! おかーさん、でたねん!! こわくてひとりで部屋にいられへん!」というので、助っ人として準備をしつつKちゃんの部屋にこわごわと入る。Kちゃんはコワいので部屋に入らず、入口から指示を出してくれる。

 そりゃ私だってコワい。あんなもの、誰だってコワいだろう。

 出現した現場にはぱっと見、いないが、どこに隠れているかわかったものじゃない。ノートやシーツやまくらをひっくり返し、脱ぎ捨ててあったジャージのズボンを部屋の外に投げたところ。

 「あああーっ!!! おかーさん、足下に、足下に!!!」

 「ぎゃあああああ〜〜っ!!!」

とベッドに飛び乗り、命からがらで腰を抜かしそうになった。私たちが「闇を切り裂く怪しい悲鳴」を叫んでいた間、ふたたびテキはどこかへ雲隠れだ。たぶんその頃、「悪魔は今夜も笑」っていたのだろう。(「 」内はもちろん古い円谷プロの名作、『怪奇大作戦』の歌詞の一部)

 そうなのだ。夏も終わろうとしているのに、それどころか明日は十五夜だというのに、風情のかけらもない地獄からの使者が、今頃のこのことやってきたのだ。地獄からの使者とは、もちろん悪魔よりずっと凶暴なムカデなのである。

 私の実家では20センチちかくの巨大ムカデがよく出没していた。だから私はムカデ慣れしているかというとそんなことはなく、やっぱりイヤだ。10センチでもイヤだ。イヤなものはイヤだ。それでもKちゃんの平和な安眠のため、10センチの細いムカデと戦わなくては。

 武器もあれこれ持参したので、油断したテキがちょっとカラダの一部を晒してしまったところを見計らって、「ムカデコロリ」をジェット噴射する。「ムカデコロリ」の説明書には「ヒトフキで動かなくなります」と書いているのだから楽勝だ。

 しかし、どうしたことか、まだウネウネと動いているではないか。ダメじゃないか、ムカデコロリ。でも、さすがに逃げることはできなくなっているので、もう一つの武器を使うことにする。よりシンプルで、もっとも原始的かつ確実な武器だ。

 水の入ったアスパラの空き瓶で撲殺したあと、水のなかに割り箸で投入してしまうのだ。ヤツは、なんと撲殺後もまだ動くか〜という恐ろしい生き物だった。さすがは地獄からの使者だ。しぶとい。割り箸でつまんで、瓶に投入しフタをしたら任務完了だ。

 やっと決着を見た後、呆然と立ち尽くすKちゃんを残して、瓶詰めの地獄の使者を手にし、立ち去るおかーさんだったのでした。