最近の読書
以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。
電車に乗る機会があったり、病院の待合室で待たされたりすることがしばしばあるので、少しだけ読書量が増えた。いや、ほんと、微々たるものだけどね。
夏以降に読んだのは
椰月美智子 『しずかな日々』(講談社文庫)
小学5年生のパッとしない男子が、母子家庭の母と離れて暮らしてまで生涯で初めてできた友達のいる学校に残り、レトロな日本家屋に寡黙なおじいちゃんとふたりで暮らす夏のまぶしい日々。なんということないボーイズストーリーって、私にとってはまぶしすぎる「どストライク」なツボなのでした。なんといっても文章が素晴らしい。小学生の夏を追体験できる名作です。
小高賢 『老いの歌 新しく生きる時間へ』(岩波新書/赤版)
高齢のプロアマを問わず老いをテーマにした短歌についての評論。80歳なんてまだまだ若い。100歳を越えてなお、短歌をつくり新聞に投稿している方が予想以上にいらっしゃるのだ。それだけでもびっくりなのに、老いをテーマにした歌が、歌壇の新しいフロンティアを形成しつつあるらしい。評論だけど一番おもしろいのは、なんといっても引用される歌の数々。カッコイイ歌も笑える歌もあってお得な1冊。私も久しぶりに、斉藤史さんの歌を読んでみたくなったのでした。
皆川博子『開かせていただき光栄です』(早川書房)
私は皆川さんがミステリーを書く人だとは知らなかったので、評判のよさそうなこの本を知って、ちらと読んでみた。なんだかセンスのいい英国の翻訳ユーモアミステリーみたいな感じ。図書館でたぶん人気がある本なので、「こんなかんじ」というのはわかったから、ほとぼりが冷めた頃また、ということで、20pほどで返しちゃいました。たぶん面白いと思う。少なくとも東川さんの『謎解きはディナーの後で』よりはるかに良い出来。
宮台真司/飯田哲也『原発社会からの離脱』(講談社現代新書)
かなり大きなスパンと世界的な視点から見た「原発社会」をめぐる対談。賢い人たちの対談なので、置いていかれそうになることもありつつ、彼らの新鮮な視点や幅広い知識や、前向きで正義っぽくない「これからどうしたらいいか」的話が刺激的で、「へえぇ〜」ボタン押しまくり。脳がオーバーヒートしそうなのに、面白くてのめり込んでしまいました。怒りを乗り越えた次のステージで、クールに「原発社会」からの転換を考える希有な本です。
あと漫画は、『聖☆おにいさん』7巻とか『へうげもの』13巻とか『きのう何食べた?』5巻とかを購入。『聖☆おにいさん』以外は未読。
『聖☆おにいさん』では、ブッダが同窓会で苦行体験をする話とか、極道の竜二さんがいつものように、でもいつもにまして、イエスとブッダを偉大なる極道と勘違いするエスカレート加減が面白かった。久々登場のカンダタのネームのフォントが可愛過ぎ(笑)で、そのナゾがとけたときも大笑いだったし。
いつもながら作者の勉強ぶりには頭が下がる。Kちゃんとふたりで大感心。それにしても聖書と仏典って、けっこう残酷シーン満載なんだな。リアルにビジュアル化したら18禁の恐れも(笑)