礼拝堂をあとに
入って来た正面玄関のサイドにある、もうひとつの出入り口(お勝手?)の階段を下りる。大きくアーチにくり抜かれた窓が、解放的。
そういえば、彼の建築には、階段も部屋の角(すみ)も、椅子や家具などの調度まで、エッジがやさしく落とされカーブを描いている。彼の建築のやさしさや居心地のよさは、そんなところにあるのかも。
敷地内には他にもヴォーリズ建築はあるので、そこにも巡ってみた。ただし入ることはおろか、近寄ることも危ぶまれるほどの老朽ぶりである。
旧五葉館。もともとは結核病患者のサナトリウムだった病院の療養所だ。5つの部屋は、太陽の光がいっぱい入るようにそれぞれ独立して張り出している。プライバシーも保たれるが、それぞれの部屋が中心で直結しているので、他の部屋の人々ともコミュニケーションが取れるよう設計されている。
こちらから見ると、ちょっとしたロッジのようなのだけど
横手にまわればちょっとホラーなテイストが・・・。
個別にはこんな感じ。山麓なので、湿気を逃すため、高床式になっている。
観光物件にもできる、いい建物なんだけどなあ。
さて、再度ツッカー館の裏手に出た。こちらも前に見たときよりすっかり寂れはて、朽ちつつある感が漂っていた。屋根もご覧のとおりだ。
玄関先のあったシンボルツリーの大王松も、いまはもう、ない。
ヴォーリズ建築みたいな、一見シンプルだけど居心地のいい、なおかつ細部まで手の込んだ作り手の思いやりに満ちた建築家魂を、後につづく若い建築家たちに、ぜひ伝えて欲しいものだ。