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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

わしのかき・・・

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 新商品というものは、心引かれるものである。

 今日は本屋さんに用事があり、その隣のスーパーですこしばかり買物をした。そこには今年初おめみえした牡蠣のパックがある。

 「顔の見える生産者」というコンセプトでアピールする農産物は多々あるが、漁業関係では仄聞にしてあまり知らない。今回見たのは、まさに「顔の見える生産者」でパッケージに堂々の登場だ。顔どころか、ガタイのよさそうな上半身も包み隠さない。

 広島の青空、その下に広がる海と牡蠣の養殖場をバックにし、両手に殻付きの大きな牡蠣を持つ、白髪の海の男。あまつさえ、雲がまるで後光のように棒状に広がっているではないか!まるで牡蠣の神様のようだ。

 この商品のアピール度は、生産者のカラー写真だけではない。右肩には金地の上にメタルグリーンで「広島産」と記され、高級ブランド感を醸し出している。

 極めつけが商品名だ。黒い手書きっぽい太字で「旨いよ わしのかき」と大書されている。「うまいよ」でも「ウマいよ」でもなく、本気度100%の漢字で「旨いよ」。そして一人称は「わし」で所有格になり「わしのかき」! 「手塩にかけて育てたんじゃけぇのう」という不器用な愛がたっぷり込められている。

 そんな気になる商品が、本日とんでもない悲劇的な結末になっていた!

 シール1枚でこんなにもなし崩しに斜陽を極めるとは! たかがシール、されどシールである。

 せっかくのキンピカブランドが。

 奇跡的にいい感じの雲をバックにした、安心安全を一手に引き受けた生産者が。

 直球ストレートな「旨いよ わしのかき」が。

 たった1枚のシールで、完膚なきまでに打ちのめされてしまうとは! おそるべきはスーパーの「半額シール」である。

 というか、これだけアピールしていたにも関わらず、消費期限の日まで売れ残ってしまうとは。「広島にあらずんば牡蠣にあらず」と聞いたことはなかったが。凄まじきなり諸行無常。おごる広島牡蠣、久しからず。

 

 あわれな白髪の海の男とは目を合わさないようにして、こっそり買い物カゴに入れ、些少ながら救済措置に協力いたしましたとさ。