酒瓶と蒲生の神仏
会期が明日までとなった『近江の地酒 全瓶集合!』の展示を見に、安土考古博物館へ、H氏と。
さほど遠くでもないので、さっと行ってさっと戻るつもりだったのだが、このときには事の顛末を予想もしていなかった。
玄関を入れば、さっそく近江の酒瓶たちがお出迎えしてくれた。
「宴の考好学−酒が醸す近江の文化」の関連展示。ただ空の一升瓶がずらりとならんでいるだけなのに、圧倒的。
H氏曰く「やっぱり水のある場所に酒蔵は多いな。ほら、みんな川の流れてるとこやんか」。
なるほど、さすがは酒飲み! 目の付けどころが違うわ!
と、私がのんきに感心している間に、H氏はひとつの計画を思いついていたのだ。レコードや本には「ジャケ買い」というものがあるが、まさか酒瓶でこれをされるとは、そのときには知るよしもなかった。
もちろん安土考古博物館が酒瓶を並べただけの展示で終わる訳も無く、これはむしろ前座のようなライトな展示にすぎない。企画展は別にある。これだ↓
『蒲生郡の風土と遺宝』展。古墳の出土品から始まり、仏像、狛犬、神像、懸け仏、仏教絵画である地獄絵図などが展示されていた。常設展も酒瓶展示も企画展も一枚のチケットで見る事ができるので、さして期待もせずに企画展示室に足を踏み入れたら。
意外や意外、面食らうほどの面白さだった。
木喰作、ファンキーな対の狛犬さんたち。(画像は案内チラシより。これ以降の画像は図録より)
千手観音の懸け仏さまだが、「千手」のつくりがザツで、ほとんど先割れスプーンのよう。でもそのザツさがキュートだ。
たいていは恵比寿さんと対になり、おめでたく福々しい笑顔でお出会いできるのが、一般的イメージの大黒さまなのだが。
・・・えらくフキゲンだ。 めったにみられない不機嫌な大黒さま。かなりのレア物件かもしれない。いや、「大黒が不機嫌でもいいじゃあないか!」と岡本太郎ばりに言われそう。
一転、こちらは福々しくぽっちゃり体型の弁天様。元は竹生島におられたらしい。それだからか、しっかりと頭に宇賀神さま(顔はジイさんでカラダがヘビの五穀豊穣の神様)が載っていらっしゃる。
こちらも上機嫌そう。