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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

佐々木マキ見本帖

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 滋賀県立美術館で開催中の『佐々木マキ見本帖』を見に行く。なにしろあの「佐々木マキ」氏であるから、わくわくするほど期待大で、館内で発酵しそうなほどじっくりと見た。

 やはり期待どおり、いや期待以上の素晴らしさだ。

 佐々木マキさんのガロ時代のマンガ(’66年デビュー!)、絵本、イラスト、本業ではない写真やちいさな立体作品などまで、彼の仕事を幅広く見渡せる展示になっている。もちろん、彼は今も現役最前線だ。

 キャプションはほとんどないけれど、彼の作品の場合、クリアで鮮明でセンスよすぎるカッコよさだけで充分だろう。ナンセンスだったりバカバカしかったりシュールだったりのマキさんに、キャプションは逆にジャマかもしれない。

 白黒のコマ割りされたマンガは、意味不明で遊び心いっぱいで、楽しげで残酷でおしゃれ。一気にサイケでロックな空気が漂っていた、70年代の小学生時代にタイムスリップ! マンガの中には、ビートルズを描いたワンカットもあって、アニメ『イエローサブマリン』のようにカッコイイ。もしかしたら、70年代のCMのカッコいい動くイラストは彼が描いていたのかも、とすら思ってしまう。

 そして、そんなに昔から活躍されていたのにいまだ現役で、相変わらずシュールな絵本を描き続けてらっしゃるのが素晴らしい。

 ちなみに私が好きなのは「まじょのかんづめ」などの「まじょシリーズ」、モノクロの大作絵本だったので、読み聞かせるのに疲れた「ピンクのぞうをしらないか?」

 モノトーンの画も白黒のバランスが素晴らしくて、俯瞰してみても美しい。水彩だって、曖昧な色味なのにパキッとクリアな線のせいか、隣同士の色のバランス均衡が絶妙なのか、とてもきれい。パステルカラーの絵本は愛らしいだけでなく、ポップで軽やかで鮮明。マキさんのパステルカラーは甘くない、いろんな意味でクールだ。つまり、全ての絵が、なんていうのか、超絶に上手くて見飽きない。ますます好きになってしまうし、むしろ尊敬すらしてしまう。

 それからこの、おかしくてこわくて、シュールでジョークで、ポップでキュートだけどパキッとドライな感じは、なるほど村上春樹さんにぴったりだと、今更ながらに感心する。このふたりの組み合わせは最強だ。

 今後村上春樹さんの小説を読む時には、脳内ビジュアルは佐々木マキさんの絵が流れそう。というか、いま丁度読んでいるところなので、マキ・タッチでしっかり流れてます。

 ところで、いつものように展示場入口の右手から入っていき、ガロ時代のコマ割りしたマンガから見たが、なにかがおかしい。なにかがおかしいと思いつつも、そのまま最後の部屋まで行ってやっと気づいた。出口から入って、入口からでようとしていることに。

 気づくの遅っ!と自分に突っ込んだが、いやいや、こまかい絵を最初にみてよかった。作新数が多かった上、じっくりと眺めたので、最後の部屋にたどり着いた頃には、けっこう疲れて休みたいくらいだったのだ。ケガの功名、ということにしておこう。

 明日はこの日の写真大会ということで、続きます。