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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

江戸の万華鏡

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 最初の陳列物はページが開かれた大きな古書。『東インド会社遣日使節紀行』。横文字に日本のペン画らしき絵が。キャプションをみたら、絵を描いたのはモンタヌスという人。

 モンタヌス?

・・・聞いた事ある! これって、江戸時代に人づての伝聞だけで、日本を描いたオランダ人じゃなかったっけ? 宮田珠己さんが「一体これはどこの国だ!?」とツッコミを入れまくった人ではなかたっけ? その宮田さんのツッコミは一冊の本になっていて、私がつい買ってしまったのが「おかしなジパング図版帖 -モンタヌスが描いた驚異の王国」だった。デタラメな日本情報による荒唐無稽な国の、あまりのユニークさに笑ってしまう本だ。

 いきなりの出会い頭だ。まずはガツンとモンタヌス。そして唯一外国と接点を持つ出島と、貿易船の船首の木彫りの像などが並んでいた。そしてやっと、インド更紗に辿り着く。

 とはいえ正直、更紗にはさほど食指が動かず。ジャワ更紗は大好きなのに、なんでかインド更紗は、目がスルーしていく。更紗の唐花手模様の夏のワンピースとか持っていたのに。

 それでも更紗尽くしの掛け軸とか、パステルでアラベスクな唐花手の模様なんかは、気になった。それとカキツバタ模様の痛んだ着物を更紗を継いで、大胆なパッチワークのようにしたものとか。

 茶の湯の道具を包む布として更紗で包まれた箱が、なんとも愛おしい。数寄者や大名たちが、茶道具を大切に愛でる様子が浮かんできて、まんが『へうげもの』の世界が彷彿とされ、なんだか微笑ましい。

 また、たっぷりの好奇心と柔軟な変換で、異文化を巧みに受け入れる江戸時代の日本人の心根がいい。茶の湯の「見立て」のように使用方法の変換を試みる数寄者心もカッコイイ。しかも使い倒してボロボロになったら、小裂を手鑑(てかがみ)として貼って残していくエコロジーでつましい精神。手鑑とは、厚手の紙で作られた折帖に、更紗の断簡を貼り込んだ作品集のこと。

 突然、私の足と目がパタリと停まった。どうも無意識に期待していた(らしい)「ぎやまん」は、期待以上に私をワシヅカミにした。

 ガラスなのに、あたたかくて、やわらかい。それも色も形も精緻なものよりシンプルなものの方が、ずっと響いてくる。豪華な飾り物ではなく、食器として使われたものに、どうも心がなびくようだ。

 洗練された南瓜のような形の、透明蓋付き茶碗。飴色がかった黄色のガラスに、シンプルな竹が凹凸で描かれたコップ様のもの。これはグラスでなく向こうづけを入れたらしい。涼しげなブルーの小鉢は、桔梗の花の意匠になっている。食器なので花びら部分はあえて尖らさず、まるく作ってある。

 オブジェのように飾ってある、高級そうで精緻な模様のついたガラス器より、食器として使われたシンプルな形にぐっとくる。でも、「茎付き朝顔」と名付けられたラッパ状のものに、くねくねした管のついたものも面白かった(用途は一体!?)

 オランダのデルフト窯で焼かれた日本風の器は、尾形乾山がその写しを作ったほど彼の作品に影響を与えたらしい。乾山の器は大好きなので、それが数点見られたのはうれしい。ラストの常設展の部屋には、私が一番好きな乾山の「銹絵染付春草図茶碗」がある。鉄釉で茶色に発色した土筆や蕨や菫が描かれた、とても可愛い茶碗なのだ。

 ここは山の中なので、ときどきさっと雨が降る。洗濯物が心配だし、速攻で帰宅するため、そそくさとミュージアムショップを流して退散。

 流しつつもショップでは、しっかり唐長の懐紙を買った(笑) 「白洲正子の世界」展のとき買ったお気に入りのが残り少なくなってきたので、客用菓子敷きとして。銘は「天平大雲」と「影牡丹唐草」。今回の企画展にぴったりのお店のセレクト。ステキな色ガラスの器は、高級すぎて手が出ません〜。これが精一杯。

 みどりの傘はミホのおもてなしのもので、だれでも自由に使える。

 送迎用の電気自動車が来た。次は秋季展の狛犬展まで、さらば、MIHO。