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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

神の恩寵を知る。

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 1月のヤング読書会の課題本は、児童書で150ページ余だったので、二日前から集中して読んでみた。課題本は、国松 俊英/著「ここが世界の中心です―日本を愛した伝道者メレル・ヴォーリズ」(PHP研究所/刊)だ。「ヴォーリズ建築」で有名な建築家にして実業家。建築会社のほかにも、薬品会社、病院、学校を経営された。現在の近江兄弟社を創設したアメリカ人、ウイリアム・メレル・ヴォーリズ氏を、「キリスト教の伝道者」という視点で描いた児童向けの伝記だ。

 1998年の刊行だけど、残念ながら新刊では入手不可能らしい。アマゾンでの価格を見て仰天する。定価の倍近い2200円。

 児童書なので、きちんと読んだうえ、メモ書きも所定ページに挟んでいたので、今回は全部感想を言えたな・・・と思っていた。なのに、やはり帰宅後に怒濤の感想があたらしくこみ上げて来るという(苦笑)。

 私が生まれてしばらくして、入れ違いくらいに天に召された方なので、同じ町に住んでたとはいえ、リアルにお会いしたことはない。しかし、彼の妻である一柳満喜子先生が園長としていらっしゃる幼稚園に在籍していたので、そうそう他人とも思えない(いやいや思いっきり他人ですが・笑)

 子どもたちも同様の学園でお世話になっていたので、彼らのエピソードや生涯はひんぱんに耳にする機会があり、おおよそ知っているつもりだった。

 もちろんご夫妻とも、敬虔なクリスチャンでキリストの教えを固く守っていたことも知っていたし、なにより建学の精神精神は「イエス・キリストを模範とする人間教育」だったので、耳タコなくらい承知していたつもりだった。

 しかしまあ「イエス・キリストを模範とする」ことを、子どもたちが卒業してからやっと思い知るとは。自分を敵視し暴力を振るう人間をかばい、その上「おまもりください」と心から神に祈るとは。

 建築をはじめ、いろんな業績を残した人だけど、「汝の敵を愛せよ」を真摯に実践したところが、なにげに一番スゴイことだった。まさに「キリストを身近におきつつ、教えを忠実に実践した人」で、しかもチャーミングなカリスマ。

 才能豊かで人脈に恵まれた彼も、何度も何度も苦難や絶望の渕に立った。貧苦に喘いだり、病で命を落としそうになったり、さまざまな偏見や妨害にあい石もて追われたり。でも、不思議にそのつど救いの手がのべられ、寄付が申し出られ、新しい道をみつけるキッカケにもなるのだ。

 彼は、若い頃、生涯の礎となるような体験をした。

 ひとつは、法で決められたことを破りながら、警察や新聞社さえもがぐるになり、理不尽な不正がまかりとおる社会への怒り。

 もうひとつは、社会通念や学説として、不可能と「いわれている」ことさえ、忍耐と努力で道が開けることも、身を以て知ったのだ。

 そのうえ、最初、伝道にはまったく行くつもりがなかった彼が、まさに突如神の啓示に打たれ、近江八幡に来たことも不思議だ。 彼は子どもの頃から商才があり、彼の手にかかればモノが飛ぶように売れたそうだが、そんな彼が「近江商人」のまちに来たのも、できすぎているくらいの偶然だ。

 本のタイトル「ここが世界の中心です」の「ここ」とは、近江八幡市のことで、彼はこの田舎の小さな町を愛し、帰化して、ここに根を降ろしたのである。

 あらためて、彼と近江八幡市の不思議な縁を感じた次第だ。やはり、神様に愛された人なのだろう。あらためて神の恩寵というものがあることを知る。