今年の文学散歩もディープ企画。
15日の夏至も通り過ぎ、6月の3週目は近江八幡市にある各読書会メンバーの有志が集う、白洲正子シリーズ文学散歩の旅行があった。ちょうど「劇団☆新感線」の舞台をみてから1週間後の18日。前日まで仕事が混んでいて寝不足気味だけど、バタバタと元気に出発。20余名が、集合場所でマイクロバスに乗り込む。
生憎の小雨が降っていた。行き先は、湖西の朽木の明王院と茅葺きの里、興聖寺と県境から少し入った福井県にある熊川宿。
熊川宿は若狭と京都を結ぶ旧鯖街道の宿場だ。国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されている。ちなみに鯖街道の終着点は、京都の出町柳。
つまり今回は、旧鯖街道の途中の要所を巡る旅であり、また白洲さんの著書「隠れ里」や「近江山河抄」を繙(ひもと)けば、神仏の渾然一体となった場所(山岳信仰と仏教の混在する千日回峰行にゆかりの寺)、またはあの世とこの世、俗界と聖域を行きつ戻りつする場所(千日回峰行の入口)を行くらしい。
湖西は今津や高島あたりなら、たまに行く事もあるが、山に分け入る朽木までは気になりつつもまだ行った事が無かった。半世紀滋賀県で暮らしていても、初めて足を踏み入れる土地である。もっとも朽木に限らず、そんな場所は滋賀県には山ほどあるはず。
なのに東京の白洲正子さんが、地元の人でさえ知らない場所を訪ね歩いたなんて。それも50年程前の、荒れ果てていたかもしれない放置された場所に。おそるべし、白洲さんの嗅覚と直感!
しかし確かに近江には、「なにかある・・・」と思わせる不思議な気配は漂っている(いた)もんなあ。それは子どもの私ですら色濃く感じたものだったから。歴史の、いまだ封印されているミステリーみたいな気配が。
今年の文学散歩も、かなりディープな旅になりそうだ。