名残を惜しみつつ中村軒
灯りを落とし気味にした畳の部屋の、ゆったり�Tテーブル分は占拠しているだろうひな壇。このあたりのお店の心意気と心遣いは、さすが老舗である。
陰りのある方が、人形に奥行きや趣が出ることをわかってらっしゃる。
たべもの、のみものの段の下に「おくどさん」があり、
台所がある流れ。
やや俯瞰でみるとこんなかんじ。新規参入の台所とお風呂が、続いてありますよね。
団子の容れ物の蓋には、「花より」の文字と団子の絵が。食うに困らないよう、食べ物や食器がたんとあるのかもしれない。
「中村軒」の「正子はん」いはく
いろんな風俗の人形がおもしろうて、狆引(ちんひき)官女という人形は犬の狆を散歩させている人形です。
昔はお産で命を落とすことも多かったさかい、お産の軽い犬にあやかって作られたんやて。
ほかにも、謎のふろしき包み、お琴、御所人形、カツラや嵯峨面の箱など。高貴なお方の嫁入り道具だ。
片隅には、こんなにかわいらしい座布団も。これは人形のお道具ではなくお客様用です。
少し凹んだ小さめの床の間のような場所にも、お雛様の掛け軸とミニ雛がゆかしい。
では、おつかいもののお菓子を買って帰りましょう。もちろん自分用のお菓子も。
上がりかまちには、こんな古い浮き彫り?のようなものが掛けられていた。
古い箪笥を利用したらしい、玄関と調理場との仕切り。素晴らしいアイディアだ。
古い民芸調のお面が、ずらりと店内を見下ろすカタチで掛けられていた。
この「おたふくさん」は、裏に穴があいているミニ火鉢。触るとあったかい現役でした。
店頭でそれぞれにお菓子を購入。選ぶのも迷うのも楽しい。
私の買ったのはほんのりピンクで桜の焼き印がかわいい「吉野」という薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう/卒倒しそうにおいしかった!)と、シンプルな「かつら饅頭」(濃いめのお茶と合いそうなちょっと甘めのおまんじゅう)、そしてつぶあん付きの「ひとくちよもぎ」(おだんご)。おつかいものには日持ちのする「六方焼き」。
次は武者人形が飾られるらしいので、端午の節句に合わせて、ふたたび訪ねてみたい。
中村軒のお菓子のページも、ぜひのぞいてみてください。お菓子好きなら、見ているだけで楽しくて、つい夢中になってしまいそう。→http://www.nakamuraken.co.jp/okashi/