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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

なんなん太宰?

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 またしてもNHKのテキストを買ってしまった。『知る学』の水曜日放映分の『こだわり人物伝 女(わたし)が愛した作家・太宰治=10月/孤高の国民作家・松本清張=11月』である。太宰も清張も共に生誕100年の作家だ。

 この10月分の『旬の女性作家が語り尽くす太宰治』のラインナップとテーマに気になるものがあったので、つい買ってしまったのだ。太宰治について語る女性作家は次の4人。角田光代辛酸なめ子西加奈子田口ランディで、このなかで辛酸なめ子西加奈子の両氏の切り口というか、語りが(キャラ的にあたりまえだけど)面白い。

 辛酸なめ子さんは太宰のモテ男ぶりや、クールでドライな視点とは裏腹な他人へのサービス精神に注目し、西加奈子さんは太宰が「めっちゃおもろい奴」で、「笑いを取ることに精魂を傾ける」点についてアツく語るのだ。

 「もしかしたら、心中は彼のサービス精神のあらわれでかもしれません。ずっと死ぬ死ぬと言ってきて、周りの期待も裏切れないから、自分の人生を見せ物として楽しんでもらおう、という、小説家としての心意気すら感じます」

 という辛酸なめ子さんのネタっぽい文章も、いや、もしかしたら、それ、あの人ならアリかも、鋭いとこ突いてるのかも、と思ってしまった。

 西加奈子さんは、太宰の「おもろさ」(とくに『富獄百景』)について、「なんなん太宰?」とさんざん突っ込んだ後に、いきなり広く高い太宰ワールドを知らしめてくれる。

 「皮膚と心」も、「人間失格」も、「富獄百景」も、太宰が書いた。

 私ははじめそれを信じられなかったが、今なら分かる。それらは、この世界のすべてだ。

 何度も言う。美しく、わびしく、滑稽で、頼りなく、苦しくて、尊い

 という西加奈子さんの太宰の世界観を感じる言葉は、感動的ですらある。

 このおふたりの太宰チェックは、かなり私にはツボだった。「富獄百景」も読まなきゃ。

 ついでながら、11月の松本清張についてアツく語る4人の「識者」(!?)のなかには、みうらじゅん氏のお名前も。あの人って、いつのまにか識者になってたんだ(笑) いや、でも、ここでもみうら節炸裂で、どんどん自分のフィールドに松本清張を、そしてぐいぐい読者(私)を引きずり込んでしまう手腕は笑えます。

 このテキスト、なかなかお買い得かも。