グァテマラの弟
昨日、同じ職場のかなり趣味のいい方のオススメだった、片桐はいり著『グァテマラの弟』(幻冬舎)をお仕事終了後、職場で借りた。
帰りの電車で、いきなり読みふけった。すっぽりと本の中へ入り込んでしまったのだ。
片桐はいり、すごい! なんて心地よいドライさ! あっちを向きながらも、こっちではさりげなく優しかったりする手触り。みっちり凝縮されている内容の、でもあっさりした文章。研ぎすまされた感覚で言葉のセレクトが、ごくナチュラルになされていることに(たぶん)脱帽。
大学院まで出ていながら、彼女とそりの合わない弟が世界放浪の旅に出て、グァテマラのアンティグアのスペイン語学校に入り、そのままそこに居着いてしまい・・・という出だしから、すっかり弟さんに共感しまくり。
たぶん初めて行った外国がスペインで、すっかり気に入ってしまった場所になってしまったからかもしれない。中南米は民博(国立民族学博物館)の展示で一番のお気に入りのコーナーだからかもしれない。ティーンの頃はまったブラッドベリの描くメキシコの不思議の印象が心に残っていたからかもしれない。南米にはほのかな憧憬を持っているのだ。
私はたぶん、弟さんと正反対なはいりさん側の人間なので、弟さんのご両親に対するマメな優しさはとてもマネできない。はいりさんは、言葉にはしていないけれど、弟さんへの感謝と尊敬の気持ちは、きっとかなりのものだと思う。
まだほんの出だしを読んだだけなので、レビューらしきことは書けないけれど、私がちょっと憧れるような文章を書くひとなのだ、片桐はいりという人は、ということは、少なくとも言えると思う。いや、驚きました。