金に悩む
やっと大学のテスト期間が終わり、再度思う様シュウカツに励んでいる3回生のTくん。
私は彼にシュウカツの専門用語などを教わったりしている。
たとえばアタックした会社からの「お祈りメール」というのは、残念な結果をお知らせするメールだそうだ。それらのメールの末尾には「今後のご活躍をお祈りいたします」と結ばれているので「お祈りメール」と呼ばれるらしい。
彼は、東京の某ちいさな出版社への提出書類を前に悩んでいた。
その会社独自のフォーマットで、履歴以外にも様々な質問事項がある。中で一枚のシートは「次の文章を続けて書いてください」というもので、「人生最大の失敗」「最近泣いた事は」「私の得意は」「好きな作品は」などという文字が、先頭にあり、その後は空白になっている。
「人生最大の失敗」って、思い出すのもいややな。最近泣いた事・・・ないな〜!! 「感動した映画」とかって・・・記録映画みたいのしか見てへんしな〜。記録映画で感動しーひんしなー。と、どの項目も四苦八苦状態。
そんな項目の中で、ただ一文字「金」とだけある箇所があった。
「カネ・・・なんにも思いつかへんな〜」。そりゃそうだ。
彼は経済活動からはるか遠くに住んでいる人で、実にお金を使わない。
不自由したらあかんし少しあげるといっても、「もったいないから」とあんまり受け取らないし、今年のお正月にはご近所の親戚からお年玉をいただいたときにも、「もう20歳越えましたから、お年玉はいりません」と、一旦はお断りしたくらい欲がない人だ(でも、結局はもらった/笑) まるで爆笑問題の太田光のように、基本的には本しか買わない。お金に思い入れがないから、思いつく事がないのだろう。
それでもしばらく「金」という文字を眺めていた彼は「・・・(金)正日(キム・ジョンイル)はどやろ?」と小さくつぶやいた。
大ばくちでウケ狙いするか、此処は安全パイで押さえるべきか。迷える子羊と化しています。