大魔王
大魔王といっても酒の話ではない。『大魔王シャザーン』である。
1968年に放映されたアメリカのアニメなんだけど、若い方にはなんのことかさっぱり、という話でたいへん恐縮ではある。
(YOU CUBEにてオープニングが見聞きできます↓ 音が出るので注意!)
http://www.youtube.com/watch?v=SKwkbCY2VwY。
60年代のテレビでは、アメリカのアニメやドラマがバンバン放映されていたのだ。
ウィキペディアより 『大魔王シャザーン』の内容を引用すると、
双子のチャックとナンシーが洞窟で見つけた指輪の力で1000年前のアラビアへとタイムスリップしてしまい、元の世界に戻るために指輪の持ち主を探す冒険の旅を繰り広げる。お互いはめている一対の指輪を合わせ、「出て来いシャザーン!」と叫ぶと「ハイハイサー」の声とともにジンであるシャザーンが登場し、二人の窮地を救ってくれる。シャザーンが魔法を使うときの掛け声「パパラパー」は当時の子供たちの間で流行語にもなった。シャザーンのほかにも空飛ぶラクダ「ブービー」や空飛ぶ絨毯などが登場し、アラビアンナイトを意識したものになっている。
というようなアニメなんだけど・・・「ドラえもん」よりも万能すぎる大魔王に、ドラマ的にはどうなのか?と、子どもながら思ってしまった。しかも弁髪でひげ面なキャラクター造形は、単刀直入に「いいひと」っぽくなくて、子ども心に複雑な戸惑いがあったのだ。
主人公達の一番の危機は、大魔王を呼ぶ一対のリングを悪党に奪われる場合である。悪党が二つの指輪を合わせてシャザーンを呼び出すと、指輪の持ち主がシャザーンのご主人様になるので、悪党の命令で主人公たちを陥れなければならなくなる。
この辺はまるで「鉄人28号」の操縦桿を悪党に奪われた正太郎少年のようなのだ。この場合、鉄人はやはりロボットなので、悪党の操縦するまま、無表情に暴れまくる。
しかしシャザーンは悪党に呼び出されて「おっと!?」と困惑するのである。でも指輪で呼び出されたので、悪党のいうことは絶対だから、いつもは「ご主人様」である主人公達をやっつけなければならない。
ここで、彼はいやいやながら悪党のいうことをきくのだ。「私は本当は、あなたたちにこんなことをしたくないのですが、ご主人様のご命令には従わねばならないので」とかなんとか、言い訳する。そのへんがなんとも可笑しかった。もちろん最後には立場がひっくり返り、指輪はめでたく元の持ち主の元にもどるのだが。
強すぎる異形のヒーロー(!?)の、どうということのないストーリーなのに、なぜか強烈なインパクトを残して去って行った大魔王シャザーン。『ジャイアントロボ』よりひとつ後、『サイボーグ009』よりひとつ前の年に咲いた徒花(!?)である。このアニメが後に『ハクション大魔王』を生む契機になったのだとすれば、日本のアニメ界に貢献した、といえるのかも。単なる私の妄想だけどね。