週刊ブックレビューに拍手。その2
ペリーさんの隣には、落ち着いた物腰のおしゃれな作家さんがいらっしゃった。小池昌代さんだ。
彼女の一押しは、知る人ぞ知る漫画家、やまだ紫さんの『樹のうえで猫がみている』(思潮社) この本の内容はHPより引用する↓
女性の内面を繊細に描いた作品で知られ、現代の漫画界に大きな影響を及ぼしたやまだ紫。昨年他界した後も多くのファンを惹きつけてやまない彼女の、詩と絵が収められた一冊です。20年前に刊行されたものに、近年の作品をたっぷり加え、待望の復刊となりました。
穏やかな暮らしの中で、ふと感じる寂しさや優しさ。言葉と絵が寄り添うようにじんわり胸にしみてきます。
やまだ紫さんが、女性の繊細な情動を掬い取り、他の人なら素通りしてしまいそうななにげない出来事を、なんともうまく表現されることに感嘆し、ペリーさんと昌代さんは「やまだ紫さんLOVE!」の思いで意気投合されて、しきりにしみじみと頷きあってらした。
もうひとりのゲスト金原瑞人さんも負けていない。『ガロ』や虫プロの漫画雑誌『COM』でデビューし、その後『ガロ』に発表の場を移したやまだ紫さんの漫画を、それらの雑誌紙上で読んだ、と得意げだった。
でも隣のペリーさんだって「私も『ガロ』や『COM』で読んでました!」と宣戦布告?されると、金原さん、おもわず意外そうに「えっ? そんなの読んでたの?」
私は『しんきらり』と『BLUE SKY』(もしかしたら『性悪猫』も読んだかもしれない)しか読んでいないけど、独特で大人っぽいなあというのが感想だった。子ども達の歯を磨いてあげるシーンとかを読んで、きちんと子どもを育てておられる人なんだなあ・・・とちょっとコンプレックスを感じていたかも(笑)
ところで『樹のうえで猫がみている』は思潮社から出ている。つまり詩集だ。もとは1980年代に、女性詩人の大家である吉原幸子主宰の『現代詩ラ・メール』に画とともに連載され、詩壇からも注目されたらしい。
『ラ・メール』はもと職場でBNすべて揃えた記憶がある。密度の濃い雑誌だった。ちょっとしか読んではいないけど、当時の女性詩の分野を、元気付け活性化させたのではないだろうか。
やまだ紫さんは昨年の5月に亡くなられた。この『樹のうえで猫がみている』は20年前刊行された本の、待望の復刊なのである。おまけに復刊特典という、特別付録がついているらしい。実はこれが「付録」というには、豪華すぎるのだ!!
『新編 性悪猫』(ちくま文庫)に収録された佐野洋子さんの解説
「ガロ」1993年2/3合併号「やまだ紫特集号」より、つげ義春さんのコメントと井坂洋子さんの文章
これらを収録した貴重な冊子がついてくるのだ!
「あとがき」は本人による筑摩書房版とCD-ROM版、プラスα、元『ガロ』副編集長でもある夫の白取千夏雄の寄稿もあり、これがまた夫婦愛を感じさせる逸品らしい。やまだ紫さんのご冥福を祈りつつ、ひもといてみたい1冊だ。