夏の名残
台風が少し逸れながら上空を通過すると、空気熱がトーンダウンしてめっきりしのぎやすくなった。砂漠の民のように乾きに苦しむこともなくなり、冷蔵庫の麦茶がほとんど減っていないことに驚いたりしている。
こんなに過酷な夏でも、夏が終わりに近づく気配がすると、名残惜しい気持ちになるのは、子どもの頃からの「夏の思い出」が、鮮やかすぎるせいかもしれない。
夏の終わりの儀式は、なんといっても茹でたトウモロコシを、ハモニカを吹くように食べることに尽きる。トウモロコシを茹でる余裕すら、まるでなかったけれど、先週ようやく、ありつくことができた。
トウモロコシの当たり外れは大きいけれど、今回は大当たりで、スイートコーンとは良く言ったものだと、感心する。あまりに美味しかったので、また1本買って来てしまった。トウモロコシを茹でる余裕、あるのか、私?と突っ込みつつも、季節限定の誘惑にはあらがえず。
まだ5Pほどしか読んでないけれど、先週H氏が東京行きの新幹線で読む本を所望したので貸してあげた。これが岸本佐知子さん以来の大ヒットだったらしく、大変喜んでもらえた。米原万里さんの『魔女の1ダース』である。
立場や国が変われば、常識が常識でなくなり、あまつさえ非常識になったりする、というエッセイである。人間の1ダースは12個だけど、魔女の1ダースは13個、とかね。
よほど面白かったらしく、H氏は現在この本のネタをばらまき中だ(笑)