冬のホラー
年末だったかに長男Tくんの中学時代の同窓会があった。夜遅くになった彼を、車で駅まで迎えにいった。
駅から出て来た彼は、ニコニコと駆け寄って来て「Iさんに駅であったんやけど、送ってあげてもいい?」
もちろん!!聞くまでもないよ。
Iさんは同じ市内に住む、同じ中学校だったお嬢さんである。利発でしっかり者の娘さんである。彼女のお母様とは親しくさせていただいていたので、家には何度か行き来があった。だから、おおよその場所はわかるのだけど、なにぶん夜間なので、細い道に入ってからは、彼女に道案内をお願いした。
「次の角に『飛び出し坊や』がいるので、そこを曲がってください」と言っていた彼女が、「あ、ごめんなさい、そこです。あれ?『飛び出し坊や』ない? 無くなったのかな・・・あ、反対側でした!」
そのときには、暗くて真剣に運転していたので、「反対側の」飛び出し坊やをみることはできなかった。彼女を家まで送り届け、帰りに来た道を戻るとき、真正面にライトに照らされた『飛び出し坊や』を見て、Tくんと二人で「こわっ!! なにこれ!? この坊や、こわすぎっ!!」と盛り上がってしまった。
この『飛び出し坊や』作家の意図としては、『呪怨』へのオマージュとしか思えない。夜に車のライトでみたら、ね。