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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

青空書房へ

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 H氏が、昨年12月からお店のシャッターが閉まっていた大阪の古本屋さん『青空書房』(以前のブログでの記事をリンクしました)の様子を、心配だからみてこよう!とお誘いしてくれたので、朝家事が終了した時点で出発した。大阪に行くということは、(我家では)お昼にお寿司を食べるということだ。もちろん子どもたちには内緒、内緒。

 まずは『春駒』で腹ごしらえ。私はみる貝と赤かぶ、H氏は白子とアワビがお気に入りで複数回注文する。握りは高くても300円くらい。タコやイカなら100円だ。いつも満員で、店の前に短い行列ができることもしばしば。

 それから青空書房へ向かい、オープンしていることに、まず安堵。

 入口の100円ワゴンからチェックしていき、単行本を流していく。(たぶん)昨年新聞書評で読んだ『岩佐美代子の眼―古典はこんなにおもしろい』岩田ななつ/インタビュー(聞き書き) 笠間書院/発行 

を発見し、即、購入決定。

 内容としては(「BOOK」データベースより引用)

四歳より十三年間、昭和天皇第一皇女照宮成子内親王のお相手を勤め、女子学習院高等科卒業、結婚後、独学で京極派和歌・中世女流日記研究を開始…。その異色の経歴と研究者としての業績は一部では「伝説」とも言われているほどである。氏の大正・昭和・平成、その83年間を語って頂いた。「人として、生きるための思想」とは何だったのか、古典文学の面白さはどこにあるのか。その秘密を明らかにする。「女房の眼」を持つ国文学者のロングインタビュー。

 やんごとなきお嬢様が、独学で古典和歌研究者なり、古典文学の面白さを語る、という内容かと思いきや!

 目次をみれば、国会図書館勤務時代に非常勤職員の待遇改善運動に取り組んだり、清泉女子大学セクハラ事件裁判を支援する、といった活動もされる、なかなか気骨ある女性なのだ。

 しかも、たまたまアトランダムに開いたページには、

(戦争責任をはっきりさせるため、過去の事例もあげて)「少なくとも昭和天皇は退位すべきでした。」

(今後の日本や日本人のため、なにより権利も自由も基本的人権すらない天皇家を思って)「終戦の時に、天皇制をなくさなかったのは、残念な事だったと思います」と、きっぱり明言されているのにびっくり。

 内親王のお相手をされているくらいだから、むしろ天皇家とは近しい人なのだ。その人がこうも明快かつシンプルに断言されているのは、主義や思想ではなく、思いやりと賢明な判断によるものだからだろう。むろんそんなことをするのは、とてつもなく難しく大変だいうのは、彼女は百も承知である。

 白洲正子さんといい、一柳満喜子先生(W・M・ヴォーリズの奥様、近江兄弟社学園創立者)といい、岩佐美代子先生といい、昔のお嬢様はすごいなあ!!

 青空書房では、その他にも10冊ほど購入することになり、心臓に持病をもっておられるという店主、さかもとさんとしばしお話する。病気でどんなにしんどくても、店に来ると不思議にしゃんと元気になるとおっしゃっていた。またメディアで紹介されるたびに、ひやかしのお客さんがみえるので、とやや困惑されていた。

 レジには先頃出版された御著書『浪華の古本屋 ぎっこんばったん』が2列で平積みになっていて、微笑ましい。

 どうかお大事になさって、ぼちぼち大好きな商売をしながら、春を待ちましょう。