淀川美代子さん
今日、ふと本屋さんに立ち寄り、なにげなく『暮らしの手帖』の最新号(第4世紀50号/2011年2−3月号)を立ち読みした(書籍/出版関係社の方たち、ごめんなさい!)。
記事がかなりよかったので、よほど買おうかと思ったけれど、残念ながら代金を捻出できず断念。印象に残った記事とは、
『こんにちはさようなら 第21回「読者交流会にて」(松浦弥太郎)』
『花森安治の机(馬場マコト)』
このふたつ。上のは見開き2p、下のは半ページくらいの短い文章なのだけど、感心したり、涙ぐみそうになったり。
上の読者交流会の話題は、編集長の松浦さんと、ゲストだった淀川美代子さんのトークの話。そこで松浦さんがレポートされている淀川美代子さんのお話がものすごくいいので、それだけでも買いだと思う。松浦さんの噛み砕きかたも丁寧で、淀川さんの気持ちが、ものすごく伝わったし。
美代子さんは、『Olive』、『an・an』、『GINZA』で編集長を務めた敏腕編集者だ。私も一時期(むろん、もう女子高生ではなかったが)『Olive』を愛読していたので、その雑誌センスの素晴らしさは、よくよく存じ上げている。現在ではエグゼクティブ アドバイザーとしてご活躍されているそうだ。
美代子さんは、雑誌が大好き、お洒落が大好きで、かの映画評論家、故・淀川長治さんの姪御さんでもある。(姪ではあるけれど、お母様の弟さんだった長治さんは、美代子さんの父親が早くに亡くなりいらっしゃらなかったので、一緒に暮らしていらした。ほとんどお父さんみたいなもの。おかげで小さい時から映画の「英才教育」を受ける事に)
今の付録合戦となった雑誌の有り様に心を痛めてらした。そうだよね、そうだよね。何だか違うなという思いを、明快に言ってくださったのがうれしい。
「雑誌はコンテンツが勝負なのに」。まさしく!
他にも
「人生のいい事は楽しみ、悪い事は勉強だと思ってそこから学ぶ」。
うんうん。
「人に負けまいとして自分を押し出していくんじゃなく、自分の意見と違っていても、謙虚に人の話を聴いてみることが大事」
みんな自分が損をしないように必死な時代に対する、重大な警告を聞いたような気がした。声の大きいもん勝ちな気分が充満している現代を、実にシャープに斬られたよう。
家に帰って「淀川美代子」で検索をかけたら、思いも寄らなかった鉱脈に出くわした。『ほぼ日刊イトイ新聞ー「淀川おじさん」』という淀川美代子さんと糸井重里さんの対談だ。それも「日曜洋画劇場」の40周年記念として作られた淀川長治さんの解説だけを集めたDVD 『淀川長治の名画解説』の話をメインに据えてあり、そのムービーもおまけについている、という贅沢なコンテンツ。これ、久々の私的ヒットでした! これについては、また後日。