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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

台所は曲者

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 現在の片付け前線は台所である。戦況は膠着状態というところか。台所は、なかなかに曲者なのだ。

 実は昨日、冷蔵庫を片付けたのだ。ところが本日の家事が一時、中断してしまった。冷蔵庫の「いつもの場所」の味噌が見つからないのだ。冷蔵庫を開けっ放して仔細に見渡すと、なんとドアポケットに入っていた。調味料別分類を止め、いつもの、冷蔵庫ど真ん中の取りやすい場所に戻したのだった。

 そうなのだ。へたに片付けると「いつもの場所」にあるべきものが見つからない。片付ける、ということは、すっきりさせることでもあるけど、すばやく出せる、ということでもある。これでは本末転倒だ。

 こんなシチュエーションになるたび、ブラッドベリの『たんぽぽのお酒』というオムニバス小説のなかの一編のお話で、乱雑にスパイスが並んだ台所で、最高においしい料理を作ってくれたおばあちゃんのエピソードを思い出す。親切心から、きれいに整頓された台所になったものの、おばあちゃんは二度と「あの味」を作り出せなくなるのだ。嘆き悲しむおばあちゃんを見て、一計を案じた少年は...という話だった。

 『たんぽぽのお酒』は、高校生の私が初めて手にした、そして購入した、犀のマークの晶文社のハードカバーだった。宝物のように大事にして(その割には、安易に汚したりもしている)、英字新聞(といっても朝日ウィークリー)でカバーをかけて、背表紙に”DANDELION WINE"とレタリングして書いたはずだ。

 大学生になったときには、実際タンポポの花を集めて『たんぽぽ酒』を作った。残念ながら、おいしいとは思えなかったけど、黄色い壜を見ているだけで満足だった。

 イリノイ州の田舎町で起こる様々なエピソードが12歳の少年の成長とともに、リリカルにロマンチックに描かれる。できれば10代のうちに読んで、うっとりしてほしいと思う。

 私的思春期夏休みの必読書である。ちなみに私的思春期冬休みの必読書は、クリスマス休暇の話である(と記憶している)『ライ麦畑でつかまえて』。サリンジャーの名作です。