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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

映画『毎日が夏休み』

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 『毎日が夏休み』は、天才少女漫画家、大島弓子先生の傑作中編コミックを映画化したもの。日曜日のBSプレミアムで夜10時からの『BSシネマDO!』にて視聴。案内役は山本晋也カントク。

 明るくクールな中学生、スギナの両親は共に再婚同士なので、スギナいはく『スクラップ家族』。でも有名女子中学に通う優秀な娘と、上揚一流企業のエリートで出世コースまっしぐらの夫を持つ母は、ご近所さんに鼻高々で幸せいっぱいにお弁当づくりに励む日々だ。

 ところがなんとしたこと、娘は実はイジメにあって登校拒否中のうえ、成績表も偽造するという体たらくだし、エリートの夫は会社と方針が合わないから、と辞表を提出していた。偶然平日の公園で義父と娘は鉢合わせし、事態が明るみに出て母はパニック、血の通わない義父と娘は二人で「なんでも屋」を開業し、働くことになるのだが・・・というストーリー。

 内容はなかなかシリアスなんだけど、テイストはポップな軽いコメディだ。

 ずいぶん前の映画だ。1994年製作の日本映画。金子修介の監督作品で、主役のスギナ役の佐伯日菜子さんはこれが映画デビュー作である。

キャストもひとクセあるひとばかりで、ちょっとしか出演されないのに存在感ありありのひとたち(英語教師役の戸田恵子さんとか、ヘンタイ?な「客」の男性役のひととか)も。

 主要キャストは以下のとおり。

林海寺スギナ:佐伯日菜子(主人公/登校拒否中のドライで明るい中学生)

林海寺成雪:佐野史郎(スギナの義父。エリート出世コースを邁進するも

  突然自らリタイア)

林海寺良子:風吹ジュン(スギナの母/優秀な娘とエリートな夫が自慢、

  だった)

草本紅子:高橋ひとみ(成雪の元妻)

小林:益岡徹(成雪の元同僚)

小林夫人:黒田福美

宇野部長:上田耕一

朝井先生:戸田恵子

学校の職員:林キセ子

江島渡:小野寺昭(スギナの実父)

 主人公スギナちゃん役の佐伯日菜子さんは、雑誌『オリーブ』のモデルから初の主演女優に大抜擢され、この映画で数々の女優賞を総なめした。もっとも彼女はナレーションもしているのだが、こちらは商業映画とはおもえないくらいヘタ。笑えるくらいヘタなのだ。それでもやっぱり、「いい映画」だと思う。

 彼女の義父でありこの映画の柱でもある成雪氏を演じる佐野史郎さんは、大島弓子描く「ヘンだけど、ある意味、理想的なオトナ(中年)の男性である父」(しかも見事に成長!)という浮世離れしたキャラクターを見事に出現させてくれた。

 世間体を気にするお母さんの風吹ジュンさんは、スノッブだけど、そこに、ユーモラスな可愛らしさやいじらしさをプラスアルファしてくれた。

 成雪さんの元妻役の高橋ひとみさんもいい。いつもながらの可憐ではかなげなビジュアルが、取り戻すことの不可能な美しい思い出と相まって、見たことが無いくらい素敵だった。しかも彼女の家の洗練具合といったら! 紅子さんの職業はスタイリストかインテリアデザイナーしか思い浮かばないくらいだ。

 こんな面々が「大島弓子ワールド」を実写にすることを可能にした。

 とくに成雪さんのセリフ! あの現実ではあり得ないような浮世離れした、しかし素晴らしいセリフの数々にイノチを吹き込んだ佐野史郎さんは、奇跡的だ。オンナも、そしてオトコだって惚れずにはいられないかも(現に山本晋也監督は『佐野さんに惚れ直した!』と絶賛ーいや俳優として、だけどね)。

 原作に忠実に作られている。これはむずかしかったろうと思う。大島弓子作品は箴言やウィットに富む言葉の宝庫だ。そんなキラ星のような言葉のかずかずが再現されている。それはマンガだからオーケーで大感動なんだけど、実写で人が口にすると横滑りしかねない言葉だったりする。大島弓子を映画化したい誘惑はわかるけれど、それは成功率の低い大冒険ではないだろうか。ところが、これは奇跡の大成功だ。

 脚本完成から実現まで3年の月日をかけ、ゆっくりじっくりと練って熟された結果、この作品のキモとなる部分は実写となって生き残れたのだろう。後で15年ぶりくらい?に原作も読んだけど、いや〜、映画の方がいいかも・・・とさえ感じる。佐野史郎さんのお父さんが、あまりにいいんで。

 ここまで書いて、でもこれがどういう映画か誰もわかんないよな、と気づく。

・・・すみません。今頃気づいたって遅いって!! 遅いけど、時間ももうずいぶん遅いので、映画自体の感想はまた。