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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

閻魔堂にて

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 閻魔堂での講義は、ほぼ講談といっていいほど楽しかった。

 まずは「閻魔」という人についての説明だ。

 地獄で亡者を裁く裁判長であり、地獄の支配者。

 ウソを言うと舌を抜かれる。

 浄玻璃(じょうはり)の鏡で、亡者が現世でした行いはすべてお見通し。

 一般的に閻魔情報について、私たちが知っているのはこんなところだろう。

 先日行った奈良国立博物館の『天竺へ』のとおり、お経は、つまり仏教は印度より伝わったものだ。閻魔様も仏教関係者だから、当然印度出身である。印度での名前は「ヤマー」という。別名「夜摩天」。印度では人間第1号である。キリスト教ならアダムとイブのカップルだが、印度の人間第2号は「ヤマー」の妹である「ヤミー」だ。

 人間第1号ということは、死者第1号でもあり、最初に死者の国に行ったのが彼だった。最初のうち死者の国は、人数も少なく静かに平和に暮らしていたのだが、人口が増えるに従っていわゆる「やんちゃもの」が出現する。手に負えない人たちが増えると、死者の国の秩序が維持できないと考えた「ヤマー」は、「やんちゃもの」専用の死者の国をつくる。これが、地獄のはじまりだ。

 いままで死者の国の管理だけしていればよかった「ヤマー」は、がぜん忙しくなる。死者の居住地区がふたつになったからだ。彼は地獄の管理もしなければならない上に、死者を振り分ける裁判をしなければならなくなったからだ。ああ、忙しい。

 仏教では人が死ねば7日ごとに法要をするが、これは7日ごとに生前の罪を問われる法廷が開催されるからだ。法廷には弁護人がいないので、法要で死者の関係者が集まり、死者の生前の善行を思い出話として語り合うことが、情状酌量につながるそうなのである。まちがっても死者の悪口は言ってはいけない

 その7日ごとの法廷は普通は第7法廷まである。いわゆる49日、すなわち満中陰が第7法廷で結審。ここで来世が決まり、六道(天道・人道・修羅道畜生道・餓鬼道・地獄道)のいずれかに行くことになる。第6法廷は第5法廷までの裁判を総括する量刑審査だ。

 ごくまれに審議を不服として、上告を申し立てる者もいるので、予備法廷として100日目、1年目、3年目にも裁きが行われることがあるらしい。だから予備法廷を入れると、10回の法廷がある。

 閻魔大王は地獄のトップリーダーだから、超多忙な人である。地獄の王は他にもいらっしゃるので、10人の王が手分けしてそれぞれの法廷を受け持っている。閻魔さまは、そのうちの第5法廷、35日目に「妄語」の罪を問う裁判を受け持つ。

 つまり5回の法廷で、仏教での五戒、つまり「してはいけないこと、五つの罪」を問うのだ。五つの罪とは、「殺生(ころし、動植物も含む)」、「偸盗(ぬすみ、人の時間を盗むことも含む)」、「邪淫(姦通、不純異性交遊含む)」「飲酒(酒をのむこと)」「妄語(ウソをつくこと)」である。

 これって、ふつうのひとは程度の差こそあれ全部クリアするだろう、いや罪の方を、だけど。というかすべて「してません!」という人がいたら、そっちの方がむしろがコワい。

 私は大変に記憶が怪しいので、ことこまかに覚えてないことを追求されてもらっても困る。それなら最初から浄玻璃の鏡を出してもらった方が手っ取り早いのに、とマジ思う。そう思っているのは、私だけではなかった(らしい)。

 先生の話はノリに乗る。

「閻魔さまは第5法廷で、亡者の罪を総合的に判断していくため、いままでの裁判でウソを言っていないか、ダメ押しをするわけです。それでも『うそは言っていません』と言い張る亡者には、指をパチンと鳴らして、手下に後の扉を開かせるのですね。すると浄玻璃の鏡が出て来る。『お前が前世でしたことは、この鏡が全部知っている』と、鏡に前世の悪行をすべて映させて白状させるわけですね。そんなことなら最初から鏡を出せばよいのに〜と思うんですが、自分で告白することを閻魔さまはヨシとされているんですね」

 いまから現世での悪行を箇条書きに記録しておいて、棺桶に入れてもらわなきゃ。あ、その前に、棺桶に入れるものリストをつくっておかなきゃ。

 そんな地獄行きを覚悟しないといけない私に、先生は耳寄り情報をくださった。

 閻魔大王は、日本ではお地蔵さんと同一人物だといわれています。だから(法廷での心証をよくするために)お地蔵さんを見かけたら手を合わせるようにって、お年寄りの人がいうのはそういうわけです。もしも地獄に堕ちても、お地蔵さん助けてください!と呼べば飛んできてくれ、顔見知りならば「ああ、あんたか〜」と助けてくださるけど、現世で手を合わせたことがなかったら「あんたは見たこと無い顔やな〜」ってUターンしていってしまわはります。

 ・・・お地蔵様、意外に現金というか俗っぽいというか・・・。

 そうか〜。地獄で仏というのは、お地蔵様だったのか! 毎日お顔を合わしているから、これで大安心だ。

 とはいえ、先生はこうもおっしゃっていた。

 血の池とか針の山なんていうのは、地獄でも序の口なアトラクションなので。もっと凄い地獄がいっぱいありますから〜。

 そういえばレジメには8種類の地獄の名前は紹介されていたけれど、具体的な内容については書かれていなかった。昔あった「奈良ドリームランド」みたいなゆるい地獄で充分です〜。間違っても「富士急ハイランド」クラスの地獄はご勘弁を〜!