『マリアビートル』読了
先週は確信犯的に読書の時間をつくり、伊坂幸太郎/著『マリアビートル』をガガッと読了した。快挙だ。
伊坂さん、大好きなのに、最初は読了できるか不安で不安で。
というのも、読み始めて初めて知ったのだけど、これ『グラスホッパー』の続編?じゃないですか〜!?
『グラスホッパー』は、私の伊坂熱に大声で「待った!!」をかけた小説で、ギブアップしてしまったのだった。殺し屋さんたちが、どんどん出てくる小説は、どうにもダメ。いいわるいじゃなく、うまいへたでなく、生理的にダメ。
さらに『マリアビートル』には、いけすかない中学生男子まで登場する。優秀で性格破綻というタイプの少年は、もともとアウトだけど、湊かなえ/著『告白』の後ではもっとアウトになった。
でもさすがは伊坂さん。ちゃんと私のお気に入りのキャラも登場し、とぼけた笑いを仕掛けてくれながら活躍してくれた。息つぎしながら読んでいくと・・・あろうことか、私の一等お気に入りキャラが途中退場してしまったではないか!! おいおいおいおいおい〜!!
もう、糸子なみの舌打ちですよ! 読書してこういう理由で、思わず舌打ちしたのって、初めての経験。
とはいえ、ちゃんとおとしまえをつける大どんでんな結末に、とりあえず納得。だけどこれって、似たようなのあったなー。そうそう、ティム・バートン監督の映画『マーズ・アタック!』だ。
いや、ぜんぜん違うストーリーだけど、作者が「(たぶん)いいたいこと」はそっくり。
『マーズアタック!』は、グロい火星人が地球人をガンガン殺してしまうんだけど、一見弱い人、取るに足らないと思われてるような人が、地球を救うというとぼけた映画だ。
伊坂さん自身の正義感とか家族愛への揺るぎない讃歌は、最初に読んだ『重力ピエロ』のときと変わらない。描き方は変化球だけどね。
いまでは果物の檸檬をみると、つい微笑んでしまう。彼にとっては「(機関車)トーマスくん」たちは、家族だったんだよね。そのへんの描き方も、とても可笑しくて、とても切ない。