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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

ひさびさに『カーネーション』

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 今日の『カーネーション』が、あまりにも内容が凝縮された15分だったので、これは書かずにはいられない。

 まず、あまりにキャストの皆さんの年齢を重ねた演技がうまいので、「時間」の流れをひしひしと感じる。50代の糸子と八重子さん。糸子に「おばあちゃん」と呼ばれるようになった玉枝さん。色恋の気配?(勘違いも含む)には、ひ孫がいてもいまだに「いやぁ〜♪」とテンションのあがる千代さん。昌ちゃん恵さんの経理コンビも、それぞれにお年を召しましたという気配が醸されていて。

 糸子の、周防さんとの回想シーンが、なにげないけど、詰め込めるだけ詰めこんだ「作り手の」万感の想いも感じられた。数えきれないくらい糸子の中で思い返されたモノクロの回想は、糸子が周防さんに手渡した桜の花から色が付いてゆき、初めてお互いの想いを伝えて抱きしめられた場面では総天然色に。きゃあ♪(©小原千代さん)

 一転、中盤では聡子がらみのコメディ要素が入り、聡子が晩ご飯に呼んだ男の子たちのうち、「単にゴハンたかりに来ただけの子のとき」の場面が、笑えるほど面白かった。坊主頭にモノトーン魚プリントの地味派手な服をきたイカツイ男子が、ガツガツとゴハンをたべている画。聡子、なんでこんな子つれてくるんや(笑)

 それと恵さんが、経営者としての器について語るとこ。

「ウチの見立てでは、一番しっかりしてるのが優ちゃん、グッと落ちて先生と直ちゃん・・・」。うんうんと頷いて聴く糸子が可笑し過ぎる。

 しっかりスルーしてるけど、糸子、なにげに直子と同等にされてるがな! 昨日、糸子自身が「経営者としては赤ん坊以下」と酷評した直子と同等やで!

 そしてラスト、余命いくばくもない玉枝さんを見舞う糸子は、持ち前のバイタリティ溢れる優しさ全開で、ほのぼの気分になったのも束の間。「日本が戦争でなにをやったか、てゆうのをテレビで見た」という玉枝は、大事な息子の勘助がなぜ戦争で「ああなってしまった」のか、やっとわかった。

「よっぽど酷いことをやられたんやと思ってたけど、ちゃうかった。あの子は。やったんや」

 これ! ドキュメンタリー映画蟻の兵隊』を見て以来のショックかも。出征する前、自分には糸子に会う資格がない、とさみしく微笑んでいた勘助の謎が、こんなふうに明らかにされるなんて。

 と同時に、「他人を殺すことは、自分自身(の中の大切ななにか)を殺すことになる」というドイツの心理学の先生が書いた本の中の言葉も、埋もれていた記憶の中から発掘された。

 加害者=悪という通常の方程式ではなく、強制的に加害者にされるのもまた戦争の被害者だということを、時間の厚みを超えて出してくるなんて。おそるべし、渡辺あやさん。ほんと、濃い15分だった。