八日市は妖怪地
八日市のレトロ金物屋さんに行った翌日、またもやH氏と八日市に向かった。鶏肉専門店にリベンジするためだ。
H氏は、こと食べることに関しては、恐ろしく執念深い。食い物のウラミはオソロシイというが、まさにそのとおりだ。復讐の鬼と化したH氏は、お昼前にふたたびアーケードの赤いビニール屋根の鶏肉屋さんを訪ね、見事リベンジを果たした。
レバー、キンカン、もも肉と、飢えた獣のように買いまくる。
この商店街の端にも荒物屋さんはある。以前「紙魚子の小部屋」パート1で紹介した荒松商店だ。久しぶりにこちらにも立ち寄ってみた。ここは昨日のお店ほどレトロ(何しろ古物商が買い付けにくる!!)ではないが、それでも懐かしい物がある昭和的お店。それも整然とながらぎっしりと品数豊富なので、商品陳列の景色だけでうっとりしてしまう。
漫然と店内を見回す。ところがH氏には心躍る物がなかった模様で、「もう、いこか?」と子どものようにせっつく。
しかし、みよ!
少し高い場所にあるガラスケースには、見慣れない模様のトランプが入っているではないか。これは要チェックだ!
お店のオバさんにいわせると、その半分は店で作ったオリジナルだとか。「合格トランプ」とかね。
そのなかで一等気になったのが、水木しげる先生オリジナルの絵柄が入ったもの。2004年に八日市で開催された「世界妖怪会議」の成功を祈り、水木先生が八日市大凧用にデザインされたものをアレンジしてつくられたのだとか。
2002年から町おこしとして「八日市は妖怪地」と駄洒落のようなプロジェクトを立ち上げ、その2年後には「世界妖怪会議」と「妖怪まちおこしサミット」を開催するという発展ぶりだ。
「世界妖怪会議」には残念ながら出席する妖怪はいなかったらしいが、代わりに?水木しげる先生、京極夏彦先生、荒俣宏先生など、ソウソウたるメンバーが結集され、新聞記事にもなった。
ところで八日市(現・東近江市)にはトランプ専門メーカー2社が本社を置く。その縁もあり「八日市は妖怪地」トランプができたのだろう。
少しプレミアがついたのか、僅少になってきたのか、当時より少し割高にはなっているが、普通に買えます。八百円ちょっとくらい。
妖怪地、もとい八日市の荒物屋さんはホント油断ならない。鬼が出るか蛇が出るか、ってなもんです。いや実際はハッピーがでるんですけどね。