遠い記憶の香り
昨日、近所の義姉さんから、冷凍韓国松茸をいただいた。
自慢じゃないが、未婚の頃も、既婚者になってからも、松茸を料理したことは1度だってない。もちろん買ったことだってない。せいぜい「松茸ゴハンの素」を買ってくるくらいだ。冷凍であろうが、韓国産であろうが、くさっても松茸。ジップロックを開封すると、えもいわれぬ松茸の香りがする。
どうでもいいけど「腐っても鯛」って、あれ、どうなんだろう。腐った鯛が威張ってたって、どうしようもないのでは。だって、いくら鯛といっても、腐ってたら食べられないじゃないか! 腐ってる鯛より、腐ってないジャコの方が、絶対いいと思うんだけど。
というわけで、昨晩は松茸と豆腐のお吸い物にし、今晩は松茸ぎっしりの小田巻き蒸し(茶碗蒸しにうどんの入ったもの)にした。
春にまさかの松茸。いいねえ。
松茸を切っているとき、ふとその香りから記憶が呼び覚まされる。私がまだ未婚の頃、香辛料とかハーブとかフレーバーとかの小瓶に凝ったことがあり、オレガノとかシナモンとか八角とかの小瓶を、台所に並べていた。
当時、お菓子作りによく利用するバニラエッセンスと同じ香料シリーズに、「松茸エキス」というのがあった。ちょっと高めに価格設定がされていたものだったけど、なにしろそのたぐいのものに熱中していたから、迷わず購入した。
それが良く出来ていて、永谷園の「松茸のお吸い物」と同じ香りがしたので、椎茸のお吸い物にエキスをふって「松茸のお吸い物」もどきを作って喜んでいた。
すっかり忘れ去っていた遠い記憶だ。
そしてもうスーパーで「松茸エキス」を見かけることはなくなった。あるところには、あるのかなあ、今でも? ホンモノのナマの松茸の香りを知って、やはりあれは良くできた香りだったなあ、と今更ながら感嘆してしまったのであった。