急がば回り道?
もう一度、醍醐寺の話に戻って。
JR山科駅で下車し、京都市営地下鉄に乗り換え、「醍醐」で下車する。前回はミニ巡回バスに乗ったけど、そんなに遠くなかったように記憶しているので、歩きでいくことに一人会議で決定!
醍醐駅に直結した滋賀県発祥のスーパーである「平和堂」を見つけ、一挙に心安い地となる。
とはいえ地理的に心もとないので、近くのコンビニで醍醐寺の場所を聞いたら、案の定、店員さんは、私が歩こうとしていた反対方向を指差したのだった。聞くは一時の恥とはよく言ったもんだ。(べつに恥じゃないけどさ)
山に向かってまっすぐ。という記憶力皆無の道だったので、安心してまっすぐに歩く。それにしても暑い! 帽子をかぶってきて、脱ぎ着できる格好で来て、大正解だった。それに「山に向かって歩く」ということは、緩やかながら登りの坂道ということなのだ。さっそく息切れ。
うららかな晴天の下、歩いていると、二軒並んだ青果店では、笹を敷いた上に皮付きタケノコを並べて販売していた。さすがは京都である。
古い豪邸とか、荒れ果てた貸しスタジオとか、いろんな物件をみつつ息を切らしながら15分は歩いて、やっと瓦の乗った長い塀が見える。着いたぞ!
ここで皆が入って行く入口を通り過ぎ、きっともっと上にも入口があるはず、という根拠のない予測を持って、私はさらに坂を上って行った。生来の天の邪鬼なのだ。すると山近くに、かなり寂しい門があったので入ろうとした、そのとき。
地元のおじいさんに声をかけられたのだ。そういうことは、珍しくない。おじいさんが声をかけやすいタイプなのかもしれない。もちろんナンパじゃない(と思う)。地域の歴史を学んでいるらしい、向学心のある、上品なおじいさんなのだが。
まず、犬を散歩させる人のマナーがなってない、という話に始まり。太閤秀吉の桃山城から醍醐までの行列の話、山の上の観音様を解体して日本中を巡回した話と続く続く。あ、この話が終わった!と「では失礼」シフトに私が移ろうとしたとたん、次の話が始まる、といった具合で、なかなかその場を去ることができない。
次こそは「では失礼」シフトに!と話を聞きつつ身構えていると、「話を聞いてくださって、ありがとうございます」ときたから、「やっと終わった!」という一瞬の油断をついて「ところで・・・」と次の話になり呆然自失だったりした。そんな訳で、いきなり門のところで、まさかの足止め状態に。
やっと解放された記念に、足止めの門にあった桃の鬼瓦を写真に収める↓
両側に高い樹々が茂る、気持ちのいい参道を歩く。桜はすでにほぼ散っていた。ときおり遅咲きの桜が花をつけていたりもした。上はなかば葉桜だが、下は花びらの絨毯。
途中、横道があり、「上醍醐寺」という道しるべがあった。
「上醍醐寺」? へえ、そんなのあるんだ。ちょっといってみようかな?と、何の気無く右折してしまった。10分ほど山道を歩いて、上から降りてくる人たちが、なんとなく軽い登山スタイルなのに気づく。嫌な予感。
でももうちょっと行ったら、きっと金網越しにある麓の醍醐寺への入口があるはず、と未練たらしく歩いてしまった。もうちょっと、と思いつつ歩くが、隣の金網は途切れることなく続く。
ついに金網の行き止まりにきたので、きっと入口あるぞ!と行き止まりまで行くと。
「ここからは入れません」という無情な案内板が。
それなら上醍醐寺へは? すこし上にあった新たな矢印カンバンには、「上醍醐寺まで約2.?キロ/あと50分」という文字が!
それ、もっと早く言って欲しかった。付録で往復2時間も歩く時間は私にはないのだよ!
出ばなをくじかれた私は、ちかくのベンチでさっきのコンビニで買ったパンを食べ気分転換をした。
でもね、途中にみた山もみじは、ものすごくきれいだったから!
もちろん、負け惜しみです。