カメムシ話
昨日もKちゃんと、台所で長話に明け暮れた。
彼女もついに高校3年生の受験生となり、自主的に計画してフル回転で勉強しているが、根がおしゃべりなので、ひとりじゃないときにはどうしてもしゃべらずにはいられないみたいだ(笑) たとえば俳句くらいの必要量だったのに、気づけば中編小説くらいしゃべっていたりする。
最近、私はすっかり傾倒してしまった俳人の池田澄子さんに影響され、なんの基礎も素養もないのに、ふと浮かんだ自己流俳句をメモしている。ときに自分の俳句に笑ってしまうことがある、というようなことをKちゃんに話し、その句を披露した。
カメムシの句なのだが、カメムシは秋の季語らしいから、季節外れではある。というか、俳句歳時記には「カメムシ」の掲載は無く、「放屁虫(へひりむし)」となっている。傍題として「三井寺ごみむし」・「へっぴり虫」・「へこき虫」・「屁ひり虫」・「三井寺斑猫」とかがあるらしい。カメムシが俳句に?と思いきや、調べてみたら含蓄深いものがいろいろ。たとえば、
御仏の鼻の先にて屁ひり虫 一茶
なんていうのは、いかにも一茶らしい愉快な句だ。
一方、女優の冨士真奈美さんが、こんな句を作っている。
半島に核持つ男放屁虫 衾去 (富士真奈美)
読み終えたら緑色のカメムシと、軍服を着た天パ・サングラスの男が口をへの字にして拍手している映像がオーバーラップして浮かんでくる。すばらしい。
そんなカメムシ話に触発され、「カメムシといえば、Zの話なんやけど」とKちゃんが始めた。彼女の友達のZちゃんが、行きつけのカットハウスに最後に入った時のこと。椅子に座って、担当者さんがきたとき。
ぎゃああああ〜!
と、まるで『怪奇大作戦』のオープニングのような悲鳴があがった。なんとZちゃんの頭のてっぺんに、カメムシがついていたそうなのだ。彼女は、すごく気まずい時間を過ごしたそうである。
それ以来、Zちゃんはそのカットハウスにいっていない。だから、別のカットハウスに行くことにしたのだが、その店にいくと前髪が残念なことになるらしい。それ以来、Zちゃんが髪を切りに行く時には「前髪を残念にしてくるわ!」というようになったという。それなら前の店にいけばいいのにとも思うのだが、「あ、カメムシの子が来た」とか言われそうな気がして、2度と行けないのだそうだ。乙女心である。
カメムシの ブローチつけて 繁華街
ブローチは 放屁虫なり 繁華街 紙魚子