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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

おひとりさま梅香堂

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 思いのほか楽しめた新熊野神社だったが、でも実は新熊野神社は、たまたま通り道だったので立ち寄っただけなのだ。本命は別にあった。

 3月の涅槃図ツアーで、実は予定に組み込んでいた休憩を兼ねたおやつの時間。でも時間が余るどころか、タイムアウトしてしまったので、かすりもしなかった。

 予定していたのは、今熊野商店街のはずれにある甘味処「梅香堂(ばいこうどう)」だ。あれから2ヶ月が経つ。そろそろ、ここを攻略する好機とみた。いざ出陣!というわけだ。

 新熊野神社から歩いて歩いて、その存在を疑うほど心細くなった頃、やっと見つけた。あやうく見逃してしまいそうなほど、こじんまりとした普通の小さな間口のお店だった。

 普通? ・・・もう一度、よく見てみよう。

 店頭で和菓子も販売しているし、巨大ソフトクリームのオブジェもある。カフェみたいに、黒板に手書きメニューがかわいらしくぎっしりと書かれ、イーゼルに立てかけてある。書ききれなかったメニューは、もう一枚の黒板にやはりぎっしり書かれて、路上に立てかけてある。一方扉の上には、梅をかたどった中に店名をほどこした和風の暖簾が架かっていた。

 この和洋折衷加減が、ふつう? やはりタダモノではないのでは。

 しかし私は、やっとお店をみつけた安堵感と、ちょっとした疲労感と、そして空腹から、玄関口を観察する余裕無く、がらがらと扉を開けて店内に入った。何の心の準備もなしに。無防備だった。不覚。

 店内は高齢の女子たちが、甘味を食べたり、甘味がやってくるのを心待ちにしておしゃべりに興じていたりした。平均年齢が高い甘味どころなのか、そもそも甘味どころという場所が、ハイレベルの平均年齢なのかは不明。

 間口も小さいが、店内もそのまま細長い。15人ほども入れば、ぎっしりになりそう。しかもゆったり空間ではないので、隣の気配がすぐそこに感じられる。

 私の隣には、アラウンド・セブンティ(以下、「アラセブ」という)と思われる女子が、だらだらとおしゃべりをしながら、注文の品がやってくるのを待っている。私はお昼ゴハン代わりにするつもりで、重めの、というか、カロリー高めの注文をした。470円のクリームホットケーキ。

 注文をききにきたバイトの子が、はっとするほど初々しく可愛らしい。大学生なら間違いなく一回生だ。私がうら若き男子だったら、うろたえそうなくらい(笑)

 注文されてからの手作りらしく、すこしばかり待ち時間が長い。となりのアラセブの品も、なかなかやってこないようだ。私が読書に没頭し始めた頃、やっとアラセブ女子たちの注文したバターホットケーキがやってきた。一番シンプルなホットケーキだ。彼女たちの声が、少し華やいだようだった。

 それに続いて、「おまたしせしました、クリームホットケーキです」と、可愛らしい声とともに、私の注文の品もやってきた。

 その品がテーブルに置かれた直後、隣のアラセブ席が、しん、とした。なんというか、「息をのんだ」という、沈黙。

 ノックアウトされたのだ、彼女らも私も。そのボリュームとクリームの尋常じゃない量に!

 ほぼ全面に、それもてんこもりに冷たく甘いクリームが!!

 たしかにクリームは所望していた。でも希望していたのは、この半量くらいなんです〜。

 しかも食べてから気づいたが、ホイップクリームではなく、ソフトクリームだった! コーンの上に乗った部分を、そのままのっけました!という豪快っぷり!

 極めつけは、ソフトクリームの頂点は潰れていて、それはクリームの真ん中に、バニラアイスがででん!と、のっていたから! ダブルのクリームじゃないか!? ・・・なら、メニューにあった同じ値段の「ダブルクリームホットケーキ」って、なにが出てくるんだ!?

 ホットケーキも直径は15センチ強くらいと小振りとはいえ、2センチほどの厚みがある2枚重ね。丸いホットケーキ枠(?)から薄く広くはみ出した生地もかなりの面積で、手作り感とオマケ感が満載だ。あ、忘れていたが、ホットケーキには定番のメイプルシロップも付いていた。

 これは確かに「おやつ」ではない。甘党の食事だ。さしもの私も満腹だ。そして美味しいことは美味しいのだが、甘味処詣でをするほどには甘党でない私にとっては、アマアマ地獄だ。この地獄から救われる道はただひとつ。コーヒーに逃避!

 ここで私はまたしても、驚愕の事態を知る。甘味どころのホスピタリティなのだろうか、それとも梅香堂独自のサービスなのかは、よくわからないが、スティックシュガーが、2本もついているのだ!! 

 いらん! 一本でもいらんくらいや!! もうすでに、充分甘いわい!

 とはいえ、甘党には嬉しすぎるボリュームと、低価格と、サービスだろう。店員さんはかわいいし、店内は居心地のいいシンプルさでアットホーム。一生懸命お客さんに喜んでもらおうとするホスピタリティは他に類をみない。特に甘党男子には、ぜひおすすめしたいお店である。

PS:ホットケーキは梅香堂の季節メニューらしいので、秋冬春の品になります。夏はかき氷になるみたいです(ネット上の未確認情報ですが)。